敷居は低いのに中身は熱い! NAの軽自動車「しかもナンバー付き」だけの草レースが最高に面白い (1/2ページ)

敷居は低いのに中身は熱い! NAの軽自動車「しかもナンバー付き」だけの草レースが最高に面白い

モータースポーツの登竜門にピッタリ! 初心者に優しい東北660選手権の基本理念

 2011年にスタートした軽自動車のワンメイクレース「東北660選手権」が10年目を迎えても勢いが衰えない。エントリー台数はいまだに増え続け、学生を中心に20代のドライバーも多くいる。人気の秘密は初心者に優しい理念、そしてレギュレーションにあった。

草レースが10年も続き、今なお成長し続けているワケ

 東北660選手権は1998年10月に改訂された「新規格」と呼ばれる軽自動車による草レースだ。その上で参加資格はエンジンがNAのみで基本的にはナンバー付き車両に限定。レースはスポーツランドSUGOとエビスサーキットで開催されている。東北660選手権でデッドヒートを繰り広げるエッセとミラ

 レースと聞くと「敷居が高い」と思い込みがちだが、このイベントは若者を含めビギナーが非常に多い。しかも参加台数も常に50台を超える大盛況ぶりで、開始から10年が過ぎた現在も増加の一途をたどっている。その人気の理由を考察してみよう。東北660選手権出走前のパドック

 取材して感じたイチバン大な理由は現場の雰囲気だろう。というのが誰もがコースに出れば本気だけど、パドックの空気は常にアットホーム。大会事務局によると「ガチンコ組にもエンジョイ組にも楽しんで欲しく、お互いが相手をジャマにしない空気を作った」という。東北660選手権開会式の模様

 取材してみると確かにモータースポーツに参加する理由はそれぞれ違う。優勝や入賞に価値を見出すドライバーもいれば、仲間といい意味でのレース『ごっこ』をしたい人もいる。和やかなムードを醸成することで他のエントラント話しやすくなり、一緒に練習に行ったり誰かと会うことが参加する目的のひとつになるなど、走るだけじゃくクルマ仲間の話を広げる機会にもなるのだ。東北660選手権の模様をパドックのモニターでチェックする参加者

 ビギナーに優しいのも東北660選手権の特徴だろう。少しでも不安を払拭できるようスタッフを始め、まわりのエントラントも積極的に声をかけ、パドックは常にいい雰囲気だ。東北660選手権参加車両に貼られていた若葉マーク

参加費用が押さえられる仕組みができあがっている

 続いてはコスト面。ベース車両が軽自動車のNAなのでタダ同然とはいわないが、普通車に比べ中古車の価格はモチロン、自動車税などの維持費もリーズナブルだ。不幸にもクラッシュで全損になったとしても、金銭的なダメージが少なくて済むのは大きなメリットだろう。中古で販売されているL275Sミラ

 運営側も車両にお金をかけすぎないよう制限しつつ、ある程度のチューニングやドレスアップは楽しめるよう工夫。もっとも改造範囲の狭い『3クラス』であれば、勝てるマシンを作っても50万円くらいで済むという。しかもエアコンを外すのが禁止されており、サーキットまで自走ばかりか通勤や通学に使う人も多くいる。軽量がゆえにタイヤやブレーキは消耗しにくく、細かいことをいえばオイルの容量だって少ない。東北660選手権に参加しているHA23Vアルト

 次はクラス分け。前述の『3クラス』は表彰台の獲得回数が4回に達すると参加できなくなる。そのため3クラスは毎年のように新しいヒーローが登場し、ひとつ上の2クラスにはよりスキルの高いドライバーが集まるカラクリ。東北660選手権の表彰式の模様

 他に改造範囲をある程度まで広げた1クラスに、2ペダル車両だけの4クラスや電子スロットル車両だけの5クラス、お試しで3回まで参加できる6クラス(車両は他いずれかのクラスに合致)と、経験や車両の仕様で細分化されているのも面白い。東北660選手権のメインストレートを走るミラとアルト

 4クラスはATとCVTの車両のみ。参加できる車種の幅が大きく広がるうえ、AT限定免許の人でも気軽にレースを体験できるのだ。東北660選手権参加車両のシフトノブ

つう 当日は朝イチで安全に走行できるか確認する車検を実施。タイヤも1戦につき4本しか使用できず、ここでも参戦コストが高騰するのを防いでいる。このあたりは公式レースを参考にしたようだ。東北660選手権参加車両の車検風景

 またレースを楽しむのはドライバー本人だけじゃない。ピット作業を手伝うメカニックに作戦を考える監督、熱い声援を送る友達や家族らの支えがあってこそ。東北660選手権でいい仲間やライバルに出会った参加者も多くいる。東北660選手権ピット作業

 敷居の低さと安全性の軽視を混同せず、車両やドライバーの装備は公式レースに近い。走行マナーの向上も初年度から力を入れている。東北660選手権に参加している車両のロールバー

 台数が多いだけにトップ集団に限らず、どのポジションでもバトルになる。混戦で揉まれるうちに判断力や運転技術が上達していく。

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