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「ギリギリ」「キワッキワ」こそが美学! じつは難しいド迫力「シャコタン&ツライチ」セダンの作り方

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TEXT: 佐藤知範  PHOTO: VIPSTYLE編集部、K-STYLE編集部

【実車に合わせたホイール選び】ぴったりサイズよりも数ミリのマージンを

 やっとツライチにできるホイールサイズが分かったわけだが、大事なのはここから。そのぴったりツライチのホイールを現実的に履けるかどうかという問題が待ち構えている。ホイール交換したレクサスIS

 車種にもよるが、フェンダーには「ツメ」と呼ばれる強度を保つための折り返しがあったり、フェンダー内側に付いているライナーを固定するクリップが付いていたりする。ホイールを外に出すことで、そこに当たってしまう可能性がある。またリム幅によっては内側のクリアランスも厳しくなり、インナーリムがサスペンションやフレームに当たることもある。干渉を逃がすために加工したライナー取り付け部分

 それに計算上ではツライチになっても、誤差などで若干フェンダーからはみ出すリスクもあり。スペーサーを使えば外に出す方向には微調整できるが、引っ込めることはできない。

 そうしたもろもろを考えると、ぴったりツライチのサイズを選ぶのではなく、マージンを設けたサイズにするのが無難だ。たとえフェンダーのツメをカットしたとしても、ハンドルが切れるようにフロントは10ミリ、リアも5ミリ以上は余裕を持たせた方がいいだろう。ツメ加工をしない場合はもう少し必要だ。フェンダーのツメ部分を測定している写真

 マージン分はインセット値に加えればいい。たとえば10J+31からマージンを10ミリ取るとすると、10J+41になる。これでツライチからホイールが10ミリ内側に入るはず。ツライチになっているクルマ

 じゃあツライチじゃなくなるじゃん! という指摘もあるだろうが、その通り。ツライチツライチといっても、正確にはツラウチのクルマがほとんど。車高をしっかり落とし、なおかつリムとフェンダーをピタリと揃えた仕様はそうそう作れない。

【ツライチを作りやすいホイールは?】欲しいサイズのホイールが必ずあるとは限らない

 ツライチになるサイズは分かった。マージンを考慮したサイズも分かった。じゃあそのサイズのホイールを買おう!  となっても、欲しいモデルにそのサイズがあるかはまた別問題。特に1ピースホイールはサイズバリエーションがそれほど多くない。セダン向けなら19インチ×8J+45、20インチ×8.5J+38といったような「純正+αくらいのサイズ」はあっても、19インチ×9J+35、20インチ×10J+30といった「攻めたサイズ」はほとんどないのだ。1ピース・2ピース・3ピースホイールの図解

 そういうサイズが欲しい場合は、2ピースを選ぶといい。たとえばホイールメーカーワークの「グノーシス」「リザルタード」「シュヴァート」といったブランドの2ピースモデルは、リム幅のバリエーションが豊富だし、インセットもミリ単位でオーダーできる。一般的な1ピースよりも高価ながら、ツライチを作るのには向いている。

 3ピースもラインナップは豊富ながら、価格がかなり高価になるのと、インセットも2ピースほど細かくは選べないことが多い。より上級者向けだが、「高級ホイール」としてのプレミアム感では3ピースが一番。懐具合と相談して決めよう。

 また1ピースでもモデルによっては攻めたサイズがあったりする。たとえばレイズの「ボルクレーシング」シリーズでは、20インチ×10J+35といったサイズをラインナップするモデルもある。インセットは限定されるのでドンピシャで合わせるのは難しいが、もし履きこなせればアピール度は高いだろう。ホイールメーカー「レイズ」のデモカー

 もしくはスペーサーを使う。20インチ×9J+35が欲しいけど、設定のあるサイズは20インチ×9J+38しかない、という場合は、3ミリのスペーサーを装着すれば+35相当の出具合になる。ワイドトレッドスペーサーとスペーサー

 スペーサーは1ミリ、3ミリ、5ミリ、8ミリ……というようにバリエーションがあるが、厚みが増すごとにハブボルトにホイールナットが噛み込む量が減り、緩みやすくなる等のリスクが出てくる。使わずに済むなら使わないにこしたことはない。できるだけリム幅とインセットで出具合を決めよう。

【タイヤ選びも重要項目】引っ張りタイヤはメリットもあるがやりすぎ注意

 タイヤサイズも重要だ。車高を落としてツラを攻めてもフェンダーに当たらないようにするには、タイヤの外径がなるべく小さい方が都合がいい。またタイヤのショルダー部分も、角張っているより滑らかに寝ている方が当たりにくい。引っ張りタイヤのサイドウォール

 だからツライチにこだわるユーザーは、「引っ張りタイヤ」にしていることが多い。これはホイールのリム幅に対して、タイヤ幅が狭く、扁平率の低いタイヤを履かせること。簡単にいえば太いホイールに細いタイヤを組み付けることだ。タイヤがホイールに引っ張られる感じになることからそう呼ばれる。

 たとえば20インチリム幅9Jのホイールの場合、一般的には255/40R20や265/45R20といったタイヤが標準サイズになる。それを225/30R20や235/30R20にして引っ張るのだ。ツライチのセダン

 結果、タイヤ外径がやや小さくなるし、ショルダーもなで肩のように寝る(銘柄によって寝やすいものや寝にくいタイプもある)。低く落としてホイールを外に出しても干渉しにくい。255/40R20ならハンドルは1周も切れなかったけど、225/30R20にしたら全開切りできるようになった、ということもある。ハンドルを全開に切っているレクサスIS

 もちろんデメリットもあり。引っ張りすぎるとバーストしやすくなったり、「セパレーション」といってタイヤ側面内部の素材が剥がれる現象が起こりやすくなる。リムからタイヤが外れてエアが漏れる「ビード落ち」というトラブルも起こしかねない。それらを防ぐには空気圧を高めにしないといけないため、グリップが低下し、乗り心地も固くなる傾向。機能面では基本ネガティブな方向に傾きがちだ。セパレーションを起こしたタイヤ

 またリムが露出するから縁石などでキズを作りやすい。タイヤ外径が小さすぎると、メーター誤差が保安基準の範囲外になって車検に通らないこともある。といった感じで引っ張りすぎには要注意。そのあたりはショップとよく相談することを勧めたい。

【フェンダー加工とアーム交換】より過激なツラを目指すのに必要なモノ

 前述の通り、リアルにフェンダーとリムが揃ったツライチを実現するのは難しい。しかしカスタムカー雑誌などでは、そうしたピタピタのツライチも紹介されている。彼らは一体どうやっているのだろうか。最後に上級者向けの技も紹介したい。車高短の210クラウン

 まずはフェンダー加工。例の「ツメ」のカットしたり折ったりして処理。インナーも切ったり叩いたりしてクリアランスを広げていることも多い。フェンダー自体を叩き出したり、純正のフェンダーをざっくり切り落とし、オーバーフェンダーに作り替えていることもある。この場合は履きたいホイールに合わせてフェンダーの出幅を決めるので、純正フェンダーよりもツライチを作りやすい。ツライチカット

「アーチ上げ」という技もある。一定以上車高を落とすとフェンダーがホイールに被ってしまい、強制的にツラウチになるが、その被った分だけフェンダーアーチを切り上げてしまうのだ。すると極低車高でもフェンダーがホイールに被らないツライチを作れる。オバフェン製作時に切り上げることもあれば、フェンダーは出さずに切り上げだけやることもある。

 アーム交換も上級者の定番のメニュー。特にキャンバー角をネガティブ方向に倒すために、アッパーアームを調整式に換えているケースは初心者~中級者でもわりと多い。セダンの足まわりはたいていダブルウィッシュボーン式で、車高を落とせば自然とキャンバー角は付く。しかしそこまで大きくは付かないし調整もできない。調整式のアッパーアームなら、「あと1度キャンバーを倒して少しはみ出したホイールをツライチにしよう」といったことも可能になる。調整式のフロントアッパーアーム

 またトヨタ系の車種では、車高を下げていくとフロントアッパーアームがインナーに当たる。それを解消するために、ナックルアームをショート化するのとアッパーアーム交換をセットで行う例も多い。フロントアッパーアームの装着イメージ

 アッパーやナックルだけでなく、ロアアーム、トーコンアーム、テンションアームといったアーム類をすべて調整式に交換するツワモノもいる。車高をベタベタに落とし、キャンバーを大きく倒しても、こうしたフルアーム仕様ならアライメント調整が効く。エアサスで全下げ時にピタピタのツライチ、走行時に車高を上げてもアライメントは大きく変化せず、きちんと真っ直ぐ走れるといったセッティングも夢ではない。Tディメンドのアーム類

 といってもアームの取り付けや調整には専門的なノウハウが不可欠。さらにアーム自体の品質が何よりも重要になる。安易に調整式アームに交換すれば誰でも理想のツライチを作れるわけではないので、そこはくれぐれもご注意を。

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