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グループAを牛耳る巨大なワークスGT-R勢を相手に孤軍奮闘! ついに勝利を勝ち取った「HKS」伝説とは

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: Auto Messe Web編集部、HKS

HKSレーシングの頑張りに、勝利の女神が手を差し伸べた1993年の初勝利!

 予選から速さを見せ、従来のコースレコードを0.7秒も更新して初ポールポジションを獲得! 決勝はトップをキープして順調に周回を重ねていたが、優勝のプレッシャーからか残りわずかで単独スピンし、一時2位に後退してしまう。ドライバー・スタッフともに優勝は諦めた矢先、先頭に立ったカルソニック・スカイラインにデフトラブルが発生し、HKSスカイラインが再逆転でチェッカー。このドラマティックな初勝利は1993年でもっとも記憶に残るレースといわれている。

 その速さに貢献したのが、独自開発したレース専用エンジンオイル。ライフは短いが、フリクションロスを大幅に低減することでエンジンのパフォーマンスを引き出した。グループAエンジンの開発はオリジナルのエンジンオイルをアフターマーケットに送り出し、1993年参戦車両のカラーリングはそのオイル缶のパッケージデザインを採用。HKSの初勝利はオイルの販売促進に大いに役立ったそうだ。

 ただし、レースで大事なのはトータルバランスであり、エンジンだけが速くても勝てるものではない。このHKSスカイラインの優勝は横浜ゴムの躍進はもちろん、HKSレーシングのスタッフ全員が努力を重ねた総合力の勝利。その頑張りに勝利の女神が最後に少しだけ手を差し伸べてくれたかもしれない。

 その後、第5戦の筑波サーキット「レース・ド。ニッポン」で2度目のポールポジションを獲得! 「今年のHKSのエンジンは速い」とライバルチームが口を揃えるなど、認められる存在となった。これはあくまでも想像の域を超えないが、もし翌年もグループAレースが存在していたら、HKSは着実に力をつけただろうし、日工エンジンも封印が解かれ、さらなる激しい争いが繰り広げられたかちからもしれない。HKSの挑戦はワンメイクレース化の様相を呈していた1クラスのカンフル剤として、グループAレースを最後まで面白くした。まさに記録ではなく記憶に残る立役者である。

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