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ガソリン車レースに飽きちゃった人こそオススメ! 「市販EV」レースが想像以上の激しさだった

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明、日本電気自動車レース協会

EVレース=エコランではない!?

 EVレースを制するポイントとは何か? 例えば、前述の距離50kmのレースなら、時間でいえば30分ほどの走行になるが、その中でいかに一定のペースで走行を重ね、モーターへの負荷を減らせるかが肝要になるのだ。そのため、Sタイヤを装着するチームも増えていく。通常ならSタイヤは走行抵抗になり不利に感じるが、ハイグリップタイヤを装着することでコーナーの旋回速度を上げることができ、結果的にはモーターの負荷を減らすことができるのだ。「ALL JAPAN EV-GP SERIES」に参加するBMW i3  さらに、レースはサーキットへ車両を持ち込む前から始まっている。レースで走行をするためにバッテリーは満充電にしておくのだが、その満充電にするタイミングを「いかに早く終わらせるか」もキモなのだ。バッテリーは充電も放電(走行)も発熱する。レースを走ることはイコール発熱することであるため、サーキット入りする状態でいかにバッテリーを冷やしておけるかが重要なのだ。自走でサーキット入りすると本番前からバッテリーを使っているから発熱しており、レース前に充電するとなるとさらに発熱する。つまり、レースがスタートする時点でセーブモード介入直前になっている可能性が高く、極端な言い方をすれば「すでにレース権はない」かもしれないのだ。たとえ上記のような点に留意してコンディション管理をしていたとしても、予選時に極力ラップ数を控えて消費電力を抑え、追充電の量自体を減らすことで発熱を下げるような努力も必要となってくる。単なる速さ比べに終わらない、高度な「頭脳戦」なのである。

筑波サーキットを走行する日産リーフ 実際のEVレースでは電欠(バッテリー残量不足)でチェッカーを受けられずに涙するシーンも見られたり、最終ラップで残りのすべてのエネルギーを投入したバトルが展開されたり、この30分ほどのレースの中には、スプリントレースの難しさや耐久レースの楽しさが詰まっている。スプリントレースの難しさや耐久レースの楽しさが詰まったEV車のレース

 現在ALL JAPAN EV-GP SERIESは、バッテリー搭載のBEV以外にも燃料電池車(FCV)、発電のためだけにエンジンを搭載したプラグインハイブリッド車(PHEV)といった車両区分も用意され、広く電動車両での参戦が可能となっている。ほかにも日産リーフだけで開催となったリーフチャンピオンレース(現在はEVチャレンジカップおよびリーフイートロフィーへと発展)などのレースも行われてきている。さまざまな電動車両での参戦が可能となっているALL JAPAN EV-GP SERIES

 気候によってもペースが異なったり、EVレースは実に奥の深い世界。だからこそ、内燃機関車両とは違う難しさと楽しさがあるのも事実。以前某チームが、事前の練習やシミュレーションを重ねれば重ねるほどデータも変わってくると困り果てていたことがある。EVは充放電を重ねれば重ねるほど電池の状態も変わってくる。つまり過度な走り込みは車両自体のポテンシャルを下げる結果にもつながるのだ。そういった制限の多い中で限られたエネルギーを使っていかに速く走るか、そういった内燃機関車とは異なる車両でレースをするのは、これまでのガソリン車を使用したレースに飽きた人にもオススメである。

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