欧州市場では個性で存在感を高める必要があった
一方、欧州の場合、フィットをベースとする、実質的なBセグメントは3ドア・5ドアハッチバックとなり、20~30代のスポーツカー好きの支持が強くなった。そもそもホンダは欧州市場でのシェアが低いため、シビックを“尖った商品”とすることで存在感を高める必要があった。欧州ではアメリカと同じくシビックを名乗るものの、まったくの別物になってしまったのだ。
この時期、ホンダとしてはグローバル販売総数600万台という数値目標に向かって突き進むなか、シビックは多様化しながら、日本市場との関わり合いが徐々に薄れていった印象がある。
そうした流れが、2015年登場の10代目から改められ、日本市場にも海外市場登場から遅れること約2年で導入された。だが、2000年代でのシビックのグローバル戦略が日本では理解されなかったため、いきなり再開した日本仕様シビックに対して、在りし日のシビックに対する思いが通じないと感じたユーザーも多かったはずだ。
日本市場におけるシビックの立ち位置は?
そして迎えた11代目シビックでも、先代からのグローバル商品戦略が継続されるなか、北米と欧州とのバランス感をセダンとハッチバックによってうまく区分けし、その中間に日本市場があるというイメージだ。
また、北米と欧州でCセグメントでのセダン・ハッチバックからのSUVシフトが大きく進行しており、それを受けてシビックの上質化・上級化も進んでいる。
その上でタイプRの存在ばかりが目立ってしまうと、日本でのシビックの存在意義はわかりにくくなるとも言える。さらにはe:HEVの登場が2022年にズレ込むことで、ハイブリッド車志向の強い層が多い日本ユーザーにとっては購入のタイミングを見定めようとする動きが出ることになるだろう。