ブランニュー登場の初代から斬新なものばかり
話の順序が逆になったが、レパードというと、やはり初代も忘れられない。当時は発売されるニューモデルの数がそう多くはなく、ブルーバード、セドリック/グロリアといった既存車種のモデルチェンジもその都度注目だった。だが、それ以上にブランニューのモデルが登場するとなると、それこそ実車がディーラーのショールームに配備されるのを心待ちにし、勇んで実車を見に行った……まだそんな時代だった。
車名も新しければ、スタイリングもまったく新しいのが初代レパードの特徴だった。登場は1980年のことで、ボディタイプはサッシュレスドアを採用したハードトップで4ドアと2ドアを設定。また販売チャンネルにクルマを振り分けるため、レパードと、レパードTR-X(トライエックス)が用意された。両車の基本スタイリングは共通で、ヘッドライトが矩形2灯がレパード、角型4灯がレパードTR-Xというのが違いだった(グリルのパターンもそれぞれ専用だった)。
筆者もディーラーに出かけていったが(というか、手元のカタログの裏表紙のディーラー印の住所で判断すると、地元ではなく、どうやら通学途中のディーラーで実車を見つけて飛び込んで貰ってきたカタログのようだ)、実車は“見たこともない斬新なスタイルのクルマ”の印象だった。とくにキャビンまわりの各ピラーを細く取り、ドア〜リヤクォーター〜リヤとガラスを繋げたデザインは特徴的だった。 リヤクォーターガラスの絞り込みや、フロントのスラントノーズ(26.5度は国産車最大と、矩形ヘッドライトだったレパードのカタログに表記がある)など、文面を読みながら「おぉ!」と思わせられた覚えがある。一方で2ドアはBピラーをボディ色にし、その前後にウインドウを配置している。コチラも個性的なデザインだった。
インテリアも上級感を前面に打ち出したもので、インパネのフェイシアは本革の風合いを再現したパッドが使われている。センターコンソールのオーディオパネルは、夜間照明が入ると、透明なパネルにグリーンの文字が浮かび上がるような、何ともいえないムーディ(!)なものだった。
それと装備で忘れてはならないのは、世界初(!)だったワイパー付き電動リモコンフェンダーミラーである。
搭載エンジンは直6の2機種(2.8Lと2L)のほか、1.8Lの4気筒も用意されている。デビュー翌年の1981年には2Lターボ(L20ET型)を追加設定。このときのカタログには大きく“世界初の、X TUTBOを搭載”とある。これは、ターボチャージャーと、エンジン本体の燃料噴射、点火時期、アイドリング回転数などを最新のエレクトロ技術でコントロールする(ECCS)仕組みのことを表現していた。他方で2.8Lは1度ドロップ、のちに3LのV6ターボ(VG30ET型)が設定された。