クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • SPORT
  • ル・マン史最多優勝を誇る「耐久王ポルシェ」! 常勝軍団の首尾一貫した「勝利の方程式」とは何か
SPORT
share:

ル・マン史最多優勝を誇る「耐久王ポルシェ」! 常勝軍団の首尾一貫した「勝利の方程式」とは何か

投稿日:

TEXT: 大内明彦  PHOTO: Porsche AG/大内明彦

省燃費での性能争いだったグループCでも7連覇

 そして、世界選手権としては初の性能規制が加えられたグループC規定が1982年から始まった。いま考えても非常に合理的な性能規制で、エンジン排気量や方式はいっさい規制せず、使用燃料量だけを制限したのである。要するに、どれほど高出力、大トルクのエンジンを開発しても構わないが、1レースで使える燃料量をレース規模に応じて制限したのである。このことは高効率エンジンの開発に直結し、より少ない燃料で、より大きな出力を発生するエンジンが勝利への絶対条件となっていた。ポルシェ962C 省燃費性能のテーマは、自動車メーカーにスポーツカー耐久選手権シリーズに参戦する錦の御旗、くだけて言えば技術研鑽という参加の口実を与えるかたちとなっていたが、いざフタを開けてみると、レースを主導したのはまたもやポルシェだった。グループCカー956を作り上げ、これの発展型となる962Cと合わせてル・マンを7連覇。レースの内実もワークス956/962C対市販956/962Cという勢力分布がしばらく続く流れだった。

 1993年、グループC規定が消滅。代わって高性能市販スポーツカーに焦点を当てたGTカー規定が導入された。1998年GT-1カー ル・マンはプロト規定と併存(世界選手権は中断)しながらだったが、2000年を境に再びプロトに1本化。この時期、企業経営が思わしくなかったことからポルシェはトップカテゴリーへの参戦活動を見送っていたが、GTカー部門では相変わらず911シリーズが多くのプライベーターに支持され、ポルシェとしてのル・マン参戦活動(911RSR、911GT2、911GT3Rなど)は続き、ワークスによる支援活動も行われていた。

ハイブリッド一騎打ちでもまずはトヨタを打ち負かし

 一方、ル・マンのトップカテゴリーは、アウディの登場によってFSI(直噴システム)、ディーゼル機関へと新たなパワープラントの時代が続き、この間ポルシェは企業再建に努めていたが、SUVブームに合わせたカイエンがヒット。

 経営が上向いたタイミングで、ル・マン/WECのハイブリッド(HV)規定(2012年)が導入された。HVテクノロジーは、世界的にトヨタが1歩リードするかたちだったが、ポルシェは2014年にHVプロトの919を開発。トヨタとの一騎打ちとなることで、どの程度の実力なのか注目されたが、登場してみればいきなりトヨタに迫るスピードを発揮。TMGを率いたトヨタ勢の総帥・木下美明氏をして「さすがポルシェ」と唸らせる内容だった。そしてル・マンでは2015年から2017年まで3連覇を達成。HVプロトポルシェ919

 アウディが、終始本格的なハイブリッドシステムを作り上げられなかったこととは対照的に、ポルシェはトヨタと同じ土俵でHVプロト対決を展開。はた目に見て、HVシステムの進化度はトヨタに1日の長があるようにも思えたが、耐久レースを戦う高性能と信頼性においては、ポルシェが長年培ってきたメーカーとしての底力が見事だった。なにより、本格的なハイブリッドシステムを短時間で作り上げたポルシェの技術力はすごかった。

次なる戦いはハイパーカーで欧米の両ラウンド 

 2023年から、ル・マン/WECシリーズとアメリカのIMSAシリーズの双方で参戦可能なLMDh(ル・マン・デイトナ・ハイパーカー)規定での参戦を公表したポルシェだが、過去の実績が示すよう、いったん登場してくるかぎりは中途半端な内容での参戦はあり得ないだろう。現在はLMH規定で主導権を握るトヨタのハイパーカーだが、LMDhのポルシェが登場した場合、いったいどういった展開になるのか、その時が楽しみである。ポルシェのスポーツ交流は2023年にはUSAのIMSAまで至る

12
すべて表示

 

 

 

 

 

 

ranking

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

 

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

ranking

AMW SPECIAL CONTENTS