ポップアップルーフの起源は元祖車中泊カー「ワーゲンバス」
それにしても、なぜ日本のキャンパーにこれほどポップアップが流行したのだろう?
ポップアップルーフの元祖といえば、「フォルクスワーゲン・タイプ2(通称ワーゲンバス)」。バン・タイプのボディに居住空間をプラスする画期的な試みだった。実際に後継モデルである「VWヴァナゴン」のキャンパーを所有していたことがあるが、室内でまっすぐに立てるだけで快適さは段違い。キャンプサイトに到着してルーフを上げる「儀式」を済ませると、空から光が入り込んでくる。その爽快感は格別だった。

それにプラスして日本では、軽自動車の顔面をカスタムする「タイプ2化け」が大流行した歴史がある。そのときに「タイプ2=かわいい」という潜在意識が刷り込まれた。ポップアップするキャンパーに、かわいいタイプ2のDNAを感じるのかもしれない。
また、本来ルーフを切るとボディ剛性が損なわれる。とくに両側スライドドア、大きなリヤゲートを持つ軽バンのルーフを切れば、カーブのたびにボディが歪んでしまう。それを補う高い技術力も、日本のキャンピングカーにひとつのジャンルを築いた理由といえそうだ。今回、ジャパンキャンピングカーショーの会場で見つけたポップアップ車を紹介していこう。

Dテントむし(Eパッケージ)/バンショップミカミ
「ダイハツ・グランマックス・トラック」に、エレベータールーフ付きの居室を架装したキャンパー。軽とハイエースの中間の大きさは手ごろ感がある。今年のもうひとつのトレンドといえる、ハイスペックな電力強化を達成している点も見どころだ。ポップアップルーフにソーラーパネルを搭載するほか、リチウムイオンバッテリーを2台装備した。従来のサブバッテリーに比べて充電サイクルが優秀なうえ、重量も半分になっている。696万7400円。

Desierto-01/MYSミスティック
ポップアップルーフを備えたアメリカ製トラック・キャンパーだ。ジェット機のキャビンを思わせる内外装のデザインが秀逸。モデル名の「デシエルト」は、スペイン語で「荒野」を表す。リヤゲート脇につく凹凸のあるパネルはスタックからの脱出用だ。インテリアはミニマムだが、ひとりの冒険にはこれくらいで十分だろう。展示はハイラックス・ダブルキャブに搭載されていた。299万9520円。

スペースキャンパー/キャンピングカー長野
ボディ剛性に負担が少ないミニポップアップルーフが特徴。これだけの改造でも、居住性は大きく改善される。リチウムバッテリー搭載によって電化を強化し、エアコン、電子レンジ、大型液晶テレビの稼働が可能になっている。家具調の化粧ボードも落ち着く。727万3200円。
