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「竹ヤリ出っ歯」に「ゼロヨン」! 眉をひそめられながらも昭和の若者が熱狂した「不良カスタム」文化

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TEXT: 並木政孝(NAMIKI Masataka)  PHOTO: 高桑秀典/賀川真弥/写真AC/Auto Messe Web編集部

知識がなけりゃ“トライ&エラー”上等で腕を磨く

 何事も経験と言う言葉があるが、FRPの技術や知識がないままグラスウールを素手で触ってチクチクと痒い思いをしたり、ラッカー塗料とウレタン塗料の相性を知らずに塗装してしまい塗膜がシワシワに縮んでしまったり。さらにはパテを盛り過ぎて継ぎ目が割れた……など、失敗を繰り返すことで改造車のカスタム技術は磨かれていった。

外付けオイルクーラー

※写真はイメージです

 当時、改造車は「街道レーサー」とも呼ばれ、改造車専門誌に投稿して掲載されることがステイタスになっていた。街道レーサーと呼ばれてはいたが、触媒を取り払った直管マフラーや大口径のマフラーは排気が抜け過ぎてまったく加速しないクルマも多かった。竹やりマフラーなどは排気を繋いでしまうと「キュポポポポ」と可愛い音しか出ず、触媒を外した直管にすることでさらにパワーダウンした改造車は「レーサー」とはほど遠いものであった。

 また、シャコタンにすることで振動が大きくなり、金属製の長い竹やりマフラーが脱落することも多かったため、雨どい用の茶色い塩ビパイプを銀色に塗装して装着するという軽量化も、当時の若者が編み出した知恵でもあった。さらに強者は、オイルクーラーなどが買えない時代に解体屋でクラウン用のATオイルラジエターを取り外し、耐圧ホースをつないでバンパーに取り付ける「なんちゃってオイルクーラー」も知恵と工夫が生んだ裏技なのだ。

昭和40年代後半にはパワーを競い合ったゼロヨンブームが到来

 その一方、袂を分けるように外見の改造ではなく「走り」を求める改造車も勢力を伸ばしていた。土曜の夜に全国各地の工業団地や湾岸地区に出没したのが「ゼロヨン族」である。東京では新木場の13号地あたりに集まり速さを競い合っていた。当時は外装と同様にチューニングパーツ自体が少なく、自分たちでボアアップを図り、ピストンなどを加工して馬力を上げていた。エンジンのオーバーホール

 また、ターボが出始めのころだったこともあり、試行錯誤を繰り返しながら速さを求めていったのである。タービンのサイズが合わずにパワーが出ない、パイピングが抜けてしまった、ブロックをコンロッドが突き破った、パワーに耐えられずに捩じ切れたプロペラシャフトが路面に突き刺さりクルマがひっくり返った……などの逸話は数知れず。現在、日本が誇る有名チューニングショップのなかには、当時のゼロヨン族をルーツに持つ店も多く、タイムを削るための技術が現在のチューニング業界の礎になっているといっても過言ではない。

【まとめ】当時の若者たちはポジティブに危険な遊びを楽しんでいた!

 一般的には社会や学校、親への不満が引き金となり爆発的に不良が増え、暴走族や改造車が急増したといわれる昭和50年代。だが、そんな不満を抱えながら時代を生きたネガティブな若者はほんの一部であり、当時を生きた若者たちは「楽しいから」とか「目立つから」というポジティブで簡単な理由でしかなかった。5代目スカイラインの走り

 現代に置き換えるのなら、大流行のソーシャルゲームのようなもので、誰よりも強くなりたいからとガチャを引き続け、武器を手に入れるために課金を繰り返した結果、莫大な請求金額になってしまったようなもの。若者は熱狂してしまうと留まるところを知らないのは今も昔も変わることはない。その対象がクルマかスマホゲームかの違いだけのようにも思えてしまう。当時、一般生活を普通に送っていた方々には大迷惑を掛けたことは間違いないが、あの狂乱の時代があってこその今がある……といのも消すことのできない事実なのである。

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