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サーキットで無双したR32GT-Rの4WD「アテーサE-TS」! なんと同じ仕組みを京商のラジコンが先に採用していた

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: 京商/Porsche/Auto Messe Web編集部

GT−Rよりも早く採用していた京商のファントム

 R32スカイラインGT-Rが、グループAレースで29戦29勝無敗の大記録を打ち立てられたのは、600psの大パワーをきちんと路面に伝えられる4WDシステムがあったからだ。なぜならGT-Rが登場するまで、重くて、アンダーステアの原因になる4WDはレーシングカーでは使えないというのが定説だった。Gr.Aレースのワンシーン

 R32の開発段階で、GT-Rが4WDになると聞いた日産のエース、長谷見昌弘さんと星野一義さんが「ラリーカーじゃあるまいし、サーキットで四輪駆動なんて何を考えているんだ」と否定的な意見だったのは、あまりにも有名な話。

 しかし、GT-Rの4WD「アテーサE-TS」は電子制御トルクスプリット4WDで、基本はFR。リヤタイヤがスリップしたときだけ、自動的・連続的にフロントにもトルクを配分するシステムだったため、高ミュー路でアンダーステアが出ないのが強味だった。日産スカイラインGT-R

 トルクスプリット4WDでは、GT-Rの前にポルシェ959という前例があった。しかし、ポルシェ961(959から名称を変更し参戦)はル・マン24時間レースではアンダーステアが強く、耐久性にも苦戦していた。そのため、サーキットで4WDを確立させたのはGT-Rの功績といっていい。ポルシェ961

 ところが、このGT-Rより数年早く、サーキットで4WDの優位性を実証していたクルマがあったのをご存じだろうか? それが京商のラジコンカー、ファントムシリーズだ。

チェーン駆動の4WDシステムを取り入れたファントム

 1980年代初頭、ラジコンのレーシングカーはタイヤのグリップを生かし切るために、リジットアクスルから四輪独立サスペンションに移行が始まっていた。四輪独立サス=四独化は海外メーカーが先行する形だったが、国産の雄、京商は4WD化で対抗した。京商のラジコンカー「ファントム」

 フロントタイヤがリヤよりも小径のラジコンカーでフルタイム4WDにした場合、前後で回転差が生じてしまうし、当然アンダーステアの原因にもなる。そこで京商は、チェーン駆動の4WDシステムを取り入れ、フロントにはワンウェイクラッチを装備するというシンプルなアイデアでこの問題を解消!京商のラジコンカー「ファントム」

 ワンウェイクラッチは、通常フロントタイヤがフリーの状態で回転し、径が小さい分リヤタイヤより早く回転しているが、リヤがスリップしたときはクラッチが働きフロントにも駆動がかかる仕組みになっていた。これはまさにGT-RのアテーサE-TSと同じ働きといえる。アテーサーE−TSシステムの図

 このファントム4WDの登場で、ラジコン界はシンプルで安価な4WD VS 複雑な四輪独立サスの対決となるが、やがて両車の長所を取り入れた、四独四駆が主流になる……。

 こうした京商の4WDマシンには、1/8エンジンカーのファントム20 4WDと、1/12電動カーのファントムEP 4WDがあった。これらをよく知る世代ならR32が登場したときに「あ、このアテーサE-TSは、ファントム4WDの実車版だ」と思ったはず!?

 いずれにせよ、サーキットで4WDをものにしたのが、日本の京商、日本の日産だった。ファントム4WDとGT-Rには、何かの因縁があるように思えて感慨深いものがある。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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