ビジュアル重視ならインチアップは必須だが……
サーキット走行で最大の消耗品といえばタイヤ。走れば走るほど減るのは一般道でも変わらないが、サーキットではタイヤにかかる負荷がケタ違いだ。新品がわずか数回の走行で終わることも当たり前で、タイヤ代の捻出に苦労している人は多いだろうし、ビギナーにとってはサイズ選びも悩ましいところ。
タイヤのカスタムといえばインチアップがお約束だが、練習が目的なら果たしてそのチョイスは正解なのだろうか。見た目がカッコよくなるという話は抜きにして、ウデ磨きに最適なタイヤ選びを考えてみたい。
練習がメインなら基本的にはまず純正同サイズから
まずはサイズで純正より大きくするべきかどうか。軽自動車のバンなど純正タイヤが極端に小さかったり細い車両や、エンジンをフルチューンして極端にパワーが上がった車両を除き、練習に限っていえば最初からサイズアップする必要はないだろう。
タイヤが太く接地面積が大きいほどグリップは増し、スピンしにくいというメリットはあるかもしれない。しかしエンジンや足まわりとのバランスは間違いなく崩れるはずだし、グリップが過剰だとパワーが食われて立ち上がりの加速が伸びなかったり、外径が大きくなれば最高速が伸びなくなるというデメリットも忘れてはいけない。
さらに重要なのは純正が特殊なサイズであればともかく、タイヤが大きく太くなるほどに値段も高くなるのだ。よく言われる「ガソリンとタイヤを減らした分だけ上達する」は紛れもない事実で、タイヤ代を安く抑えて差額を走行料金やガソリン代にまわしたほうが効率はいい。どうしてもサイズアップしたいなら195を205など、ノーマル+αの範囲に抑えることをオススメしたい。
最初からノーマルよりもハイグリップなタイヤは不要
同じ理屈で極端なハイグリップタイヤも不要だ。練習には無用の長物どころか運転の荒さやミスを気付かせにくくするし、ハイグリップが仇となって車種によっては横転の危険性が増したり、速度域が上がってクラッシュ時のダメージも大きくなってしまう。
ローパワーの軽自動車やコンパクトカーなら、セカンドグレードのラジアルタイヤで十分であり、中~大排気量やライトチューンのターボ車でもハイグリップラジアルに留めておきたい。エンジンがノーマルやライトチューンという前提は付くが、前後サイズが同一であればローテーションできるので、4本のタイヤを効率よく最後まで使い切ることが可能。
駆動輪だけ太く(FFでフロント225/45-16、リヤ195/55-15など)したクルマもいるが、エンジンのパワーがあったりタイトターンが多いコースなのがおもな理由で、そういったセッティングを試すのはもっと上達してからでも決して遅くない。