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7800万円で限定10台! ランチア「デルタ」がレストモッドで蘇る! ラリー仕様を意識した「サファリスタ」とは

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TEXT: 齋藤 優  PHOTO: automobiliamos

サファリスタはホワイト基調のボディを採用

 外観は、エッジの効いたランチア・デルタならではのハッチバック。ドナーカーのインテグラーレ16Vは4ドアだったが、「デルタ・フューチャリスタ」同様、「サファリスタ」は2ドアだ。何の驚きもなく見過ごしてしまうドアサイドの佇まい、これこそ驚きである。つまりはブリスターフェンダーの流れを擁した何ら違和感がないフォルムは、まさしく魂が宿っていると言いたくなるほど素晴らしい仕立てだ。

   用意されたボディ色には、これぞサファリ・ラリーのイメージを後押しするカラーであると断言できるホワイト基調も用意。もちろんオーダーメイドだけにブラック、レッドの見本色も提示されている。フューチャリスタでは、往年のインテグラーレ・エボIIの最終版、ランチアが限定販売した、とくに日本だけで販売されたものもあったコレッツィオーネ仕様をもイメージさせる色合いのレッド系のほか、クラブ・イタリアを彷彿とさせるグリーン系が印象的であった。だが、今度のサファリスタといえば、やはりホワイトをボディに使い込んできたことが注目される。ランチア デルタ サファリスタ

 ランチアのPRドレスとも言えるマルティニラインが映えるのは、ホワイトボディであるということでもあるし、ホワイトにはまたサファリ・ラリーの悪路走行における泥、砂、埃を引き立てる色彩がある。だからこそサファリスタにはホワイト基調のボディが追加されたのではないのだろうか、と憶測してしまうのだ。

四苦八苦したサファリラリーの優勝は1988年にデルタHFが成し遂げた

 デルタHF登場前のサファリ・ラリーにおいて、ランチアは苦戦が続いていた。言ってみればモンテ・カルロからツール・ド・コルス、サンレモ、ポルトガル、サルデーニャ、イソラス・カナリアス、マヨルカ、エルバ、などWRCやERCで優勢を誇っていたかつてのランチアにとっては、ヨーロッパの主戦場は、勝手知ったる庭先のようなものであった。

 しかしながら対岸のアフリカ、サファリ・ラリーでは、どういうわけか勝てなかった。かねてよりヨーロッパの道での俊敏な速さばかりが重要視されていたせいか、フィールドの違いに対応する構えに四苦八苦、頑丈さがなかったのか。

 ところが市販車ベースになれば、速さと同等に堅実さも訴えていかなければならない。サファリでの長年の労苦が肥となり、ようやくそれをデルタHFで見せつけてゆくことができた。かくしてランチアは、グループB時代の速さと4WDで成し遂げようとしてきたサファリ・ラリー優勝を、グループA時代の2年目の1988年にデルタHFでようやく成し遂げる。

 初年度1987年のデルタHFはフロントに詰め込んだエンジンの影響により、フロントヘビーのアンダーステアもあったものの、トルク配分をリヤに若干移動させ、ストラットを広げ足まわりもしっかりとさせるなど、次第に揺るぎないマシンに仕立てあげられていく。

 サファリ参戦史上初勝利とともに、速さばかりでなく剛健さも証明していったデルタHFは、1987年から獲得していたWRCマニュファクチャラーズ選手権タイトル、世界最高の自動車を製造しているメーカーであるという国際自動車連盟からのお墨付きタイトルを6年連続で獲得し、WRC史上未曾有のランチアの時代を演出してゆくことになる。 

 その君臨時代の最終マシン、デルタHFインテグラーレ16Vの魂を汲んで作り上げたレストモッド、サファリ・ラリー参戦仕様、それがサファリスタというわけだ。しかもただ飾り置くトロフィーのようなレストアものではなく、民芸品的に使ってみるからこそ価値がある。いうなればクルマは走ってナンボの世界であり、伝統あるクルマを体感して見ませんかというシロモノ。

 大量生産はメーカーとしての立場であるが、ドナーカーから作り上げるスピリチュアルなカスタムカーとは何か、歴史的文化を身近に引き寄せる術とは何か、これからのクルマはどうなるのか、WRCでのランチア・デルタHFインテグラーレ16Vに世界中のファンが引き寄せられた魅力を、発散させるひとつの品物としてAAによりサファリスタは意味深に提言されたのである。

スパルタンなコクピット

 コクピットで体現されるのはしっくりと握れるアルカンターラのステアリング、無駄を剥いだメーターのバーチャルなインストルメントパネル、スパルコ6点式ベルト、レカロシート、ファッショナブルなタイヤカバーまでもがあるリヤ搭載のスペアタイヤ。

 巻き上げられたマッドフラップ、アンダーガードパネルなどは、サファリ仕様ならもっとも簡単にイメージできるものだが、フロントホイールを補完しているブレーキ冷却ベンチレーター、リヤディフューザー、ギャレットターボパーツ、ドグミッション……、類似レベルにまでチューニングされている訳だから、サファリ・ラリーの走りを体感させてくれる走行性能だとも言える。ランチア デルタ サファリスタのインテリア

 アウトサイド、インサイド、そこにあるこれらは実際にランチアの競技車にあったそのものではないのだが、それらは幻か現実かと思わせるものなのだ。

* * *

 いいものはいい、欲しいものは欲しい、ならばこう対応いたしますと、伝説のマシン、ランチア・デルタHFインテグラーレ・サファリ仕様を、オーダーメイドのサファリスタとして請け負ったAA。ヨーロッパ価格57万ユーロ(8月23日のレートで換算。1ユーロ:136円=7760万円)。2023から2024年にかけてデリバリーされるとのこと。日本のどこかでも早々にお手並拝見できればと思わずにはいられない。

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