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フェラーリ「288GTO」がレストモッドで蘇る! 故ニコラ・マテラッツィが病床で監修した「ラ・グラントゥリズモ」とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Maggiore

レストモッドの波はフェラーリにも

 イギリスでは、今も昔も小規模コンストラクターが数多く存在し、個性あふれる少量生産車両を続々と生み出してきたが、近年ではイタリアでも老舗・新興を問わず、特別な限定生産車たちを生み出すスペシャリストが続々と作品を世に問うている。

 そんな状況のもと、2022年9月2~4日に英国ハンプトン・コート宮殿にて開催されたクラシックカーのコンクール・デレガンス「コンクール・オブ・エレガンス」を舞台に、1台の興味深いフェラーリ、あの名作へのオマージュを全身で体現したレストモッド車の概要が発表されたという。

スペチアーレをリスペクト

 今回、コンクール・オブ・エレガンスでデビューした「La GranTurismO(ラ・グラントゥリズモ)」は、車名の大文字部分が暗喩するように、フェラーリの歴史的名作「GTO」、つまり「288 GTO」の現代版を目指して開発された限定生産モデルとのこと。

 開発・製作したのは、FCA(現ステランティス)やピアッジオ、アトリエ・ザガートの対アジア部門などでキャリアを積んだエンジニア、ジャン-ルカ・マッジオーレ氏が2019年に創業した「アウトモービリ・マッジオーレ」である。

 La GranTurismOは、アウトモービリ・マッジオーレによって2022年春に発表され、ヨーロッパでは大きな反響を得たレストモッド車「プロジェットM(Progetto M)」と同じく、フェラーリ「308 GTS」をベースとする。

 ただしプロジェットMのモディファイが比較的ライトなものだったのに対して、こちらは格段に本格的。288 GTOから「インスピレーションを受けた」というボディはカーボンファイバーで、V8エンジンはベースモデルとは異なり縦置き。さらにツインターボ化が図られ、オリジナルの288 GTOから5割増しとなる600psのパワーを発生するとのことである。トランスミッションは最新の6速マニュアルが選択される。

ニコラ・マテラッツィが監修していた

 そして特記すべきは、このモデルの開発ワークはオリジナル288 GTOの開発エンジニアだった故ニコラ・マテラッツィ技師が、病の床にありながらもプロジェクトマネージャーとして監修していたこと。ところがマテラッツィ氏は発表1週間前の8月24日に、83歳で逝去してしまったことから、晴れの舞台に立ち会うことができなかった。

 ジャン-ルカ・マッジオーレCEOは、このLa GranTurismOは288 GTOと故マテラッツィ氏へのオマージュであると語っている。

 さらにボディワークやインテリアについては、世界的に有名なオランダ人デザイナー、ステファン・ショルテン氏とのコラボ体制を構築。北欧のモダンなデザインに、イタリアの文化や様式美を融合した色彩や素材研究のパートナーとして、La GranTurismOのデザインワークに取り組んだという。

 GranTurismOの生産化については「限定生産」とだけ言及。販売予定価格や生産予定台数、デリバリー開始時期などについては公式にはアナウンスされていない。この種のスペシャルモデルではよくあることだが、なんとか今後の生産化にこぎつけてくれることを祈りたいところである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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