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バブル期にラッセンと人気を二分したヒロ・ヤマガタのアートカーがオークションに登場! ベンツをキャンバスにした「アースリー・パラダイス」とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Courtesy of RM Sotheby's

美術館にも展示されたことのある個体

 今回、RMサザビーズ「Monterey」オークションに出品されたのは、ヒロ・ヤマガタ氏が総計24台製作したとされる「アースリー・パラダイス」の中でも有名な個体。「バタフライズ&ローゼス(Butterflies and Roses:蝶とバラ)」である。

 その作品名のとおり、1952年型220 カブリオレAに描き込まれた鮮やかな花模様は、まるで万華鏡を覗いているかのようであり、大きな蝶が今にも羽ばたきそうにも映る。この作品は完成ののち、オーストリア・ウィーンの「応用美術館(Museum of Applied Arts、通称MAK)」に展示されたという記録が残っている。

 そして2016年に現オーナーが購入したこの作品は、そのコレクションのもと静態保存の展示品として賞賛されてきた。最近になって、走行可能なコンディションに戻す作業が完了したとはいうものの、メカニズムの世界と自然界の出会いをめぐるヤマガタのビジョンの重要な部分をなしていることに変わりはないだろう。

 ヤマガタの「アースリー・パラダイス」シリーズ作品は市場に出ることが少ない……、という前置きとともに、RMサザビーズ北米本社は22万ドル~35万ドル、つまり約3150万円~約5015万円というエスティメート(推定落札価格)を設定した。

 この予測値は、ベース車両であるメルセデス・ベンツ220カブリオレAが、極上コンディションであれば20万ドル以上で取り引きされる事例が多いことを思えば、決して高すぎるというものではないと思われる。

大誤算? 予想外の安価で落札

 ところが実際に行われた競売では、しばしばギャンブルに喩えられるオークションではありがちな、かなりシビアな事態が待っていた。

 今回は「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」での出品。この出品形態は確実に落札されることから会場の空気が盛り上がり、ビッド(入札)が進むというメリットもある半面、たとえ出品者の意に沿わない安値であっても強制的に落札されてしまうリスクもある。

 このギャンブルが裏目に出てしまったのか、終わってみればエスティメート下限のさらに約半額に相当する11万7600ドル、日本円に換算すれば約1685万円という驚くほどに安価、買い手にとってはお買い得な落札となったのである。

 ちなみに「アースリー・パラダイス」連作の約半数は日本に生息し、今年に入って相次いで売りに出された。じつは、筆者自身も触れる機会があったので、その詳報についても近いうちにお話しさせていただきたいと考えている。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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