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3億円! アウディの怪物マシン「スポーツクワトロ」は制御不能!? すべてがキレていたワークスマシンとは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Courtesy of RM Sotheby's

グループBの本物のワークスマシン

 怪物マシンと英雄的なドライバーたちが苛烈な覇権争いを展開し「狂乱のグループB」として語られる伝説の時代。1980年代中盤のFIA世界ラリー選手権(WRC)を彩ったワークスマシン3台が、2022年11月上旬にRMサザビーズ社が開催した「LONDON」オークションに出品され、世界的な話題を提供した。今回はその中から、もっとも怪物的なルックスと成り立ちで、近年ではカルト的な人気を博すアウディ「スポーツクワトロ」のワークスマシン、しかも最終進化形というべき「S1 E2」と、注目のオークション結果をお知らせしよう。

4WDのアウディを定着させた1台

 1983年シーズンからWRCの最上級カテゴリーとなったFIA「グループB」規約は、当時の自動車メーカーにとっては大胆な新技術を開発・導入するためのプラットフォームとなった。そして、それまではオフロードカー用の技術だった4輪駆動のコンセプトをラリーのスペシャルステージに適用することで、ラリーというモータースポーツのありかたを永遠に変えるとともに、自動車史上もっとも人気のあるモデルレンジの1つを生み出したアウディこそが、その改革者というべきだろう。

 アウディは、FIAがホモロゲーションのカテゴリーを変更する以前の1981年から、元祖「ビッグクワトロ」を旧グループ4にホモロゲートし、ワークス体制でエントリーしていた。そしてアウディが4WDシステムを一気に普及させたことによって、グループBは信じられないほどのスピードを獲得。最終的には制御不能なレベルの危険をもたらすことになってしまうが、同時に自動車テクノロジーの推進に貢献したのも、まぎれもない事実である。

 グループB初年度の1983年にタイトルを獲得したランチアは、同じ年から並行して「デルタS4」の開発を開始するなど、ほかのメーカーも4WD化に追随しようとしたが、この時点におけるアウディのアドバンテージは明らか。1984年までのラリーシーンを圧倒し、3つのドライバー部門および製造者部門世界タイトルによって証明された。しかしその成功の裏で、クワトロのアキレス腱は重量とその配分であることも顕在化していた。

 そこで1984年シーズンに実戦投入されたスポーツクワトロは、アウディにとって大きなステップチェンジになるはずだった。ところが、同時にドライバーたちは、驚異的なパワーを生み出す一方で、フロントエンジン+極短ホイールベースゆえのトリッキーなハンドリングに手を焼かされてしまう。実際、1984年の世界王者となったスティグ・ブロングビストは、タイトルがほぼ確保されるまで、スポーツクワトロの使用を避けていた。

 つまり1985年シーズンに、ミッドシップ4WDのプジョーやランチアからの挑戦を撃退するためには、これらの根本的な問題を整理する必要があったのだ。

 こうして開発されたE2は、1985年8月にようやくデビューを果たす。スポーツクワトロをベースに、20バルブのアルミ軽合金ヘッドを備えた同じ5気筒ブロックを使用。冷却された空気は巨大なKKKターボチャージャーによってエンジンに押し込まれ、最終的に出力は約550psに到達したとのことである。

 この数値は、歴代グループB車両の中でももっともハイパワーとみなされており、テストでは、E2は0-100mph(約160km/h)加速8.9秒の加速タイムを記録したといわれている。

 E2の大きな特徴のひとつは軽量化と重量の分散であり、ラジエターやファン、さらにはオルタネーターまで、多くの重量物がリア側に移動された。しかし、E2のもっとも顕著な側面はボディワークであり、その多くは1100kgの最小重量に収めるために、カーボンケブラー複合材としている。また、可能な限り多くのパワーを路面に伝達するべく、最大のダウンフォースを得るために風洞で形状が決定されたという。

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