マフラー出口の種類は豊富になった
排気の流れをスムースにするチューニングパーツであり、リアビューを引き立てるドレスアップパーツでもあるマフラー。メインパイプの太さや曲がりの少なさが性能に直結するのは分かるが、テールエンドの本数やデザインによってパワーや特性は変わるのだろうか?
また同じデュアルでも左右から1本ずつ出ているのか、右もしくは左の片側から2本なのかという違いもあり、マフラー交換を考えている人にとっては気になるところだ。
近年のモデルに複数出しはビジュアルアップの要素も強い
結論から言ってしまうと極端に細すぎない限り、本数や出口の位置でマフラー性能は変わらない。排気効率に関わるのはサイレンサーよりエンジン側のメインパイプで、それより極端に細くなければ抜けが悪くなることはないと考えていいはず。
大排気量なら排圧を逃すため本数を増やすことも有効だが、最近のスポーツカーや高級車にデュアル出しが多いのは、性能よりデザイン面における要求を満たすためだろう。
複数出しのシングル化は軽量化などメリット多し
ただし社外品のスポーツマフラーでは純正の左右デュアル出しを、いずれかの片側シングル出しに変更されるケースも少なくない。排気効率を優先した結果、シングル出しになった製品も当然あるはずだが、シングルのほうがデュアルより軽量であり製造コストが低いのも確かだ。
マフラーはいわゆる「バネ下」に分類されるパーツであり、バネ下1kgの軽量化はバネ上の15kgにも相当すると言われる。仮にマフラーがデュアルとシングルで3kgの違いがあるなら、その差をほかの軽量パーツで埋めることは相当に難しいはず。
純正バンパーがデュアル出し前提のデザインであればシングル化による見た目の違和感は多少なりともあるが、排気効率に加えバネ下の軽量化による数多くのメリットを享受できるのであれば、ある程度のルックスを犠牲にしてもシングル化するという選択肢は大いにアリだ。
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なお最近ではホンダ「S660」やレクサス「LFA」がセンターからの3本出しを採用したり、環境性能に優れるハイブリッドカーがテール部分をリアバンパーの内側に隠すなど、クルマのキャラクターをアピールする手段としてもマフラーが利用されることが多い。いずれにせよテールの本数や形状は排気効率にはあまり関係がなく、それより手前に位置するメインパイプの径や取りまわしが重要。サーキット走行が中心で軽量化にこだわる人は別として、デザインの好き嫌いで選んで大過はないと言っていいだろう。