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ホンダ「Sシリーズ」は宗一郎の情熱のカタマリ! 「S800」へと続く進化を解説します【国産名車グラフィティ】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 木村博道/日本自動車工業会/Auto Messe Web編集部

英国オープンスポーツカーを彷彿とさせるお洒落な内装と優雅な外観

フェンダーから一段下がったところにあるフロントマスクは、クロームメッキの横線基調のグリルに一文字のメッキバンパーとの組み合わせ。これがS500のエクステリアデザインの特徴だ。

ヘッドライトにはガラス製のカバーを被せている。ライトカバーと抑揚のないバンパーは、初期型のS600にも引き継がれた。

インテリアもイギリスのスポーツカーの香りを放っている。機能を重視したデザインで、メッキパーツの使い方も上手だ。ダッシュボードは、ドライバーの前に大型の2眼メーターを配し、その左側に補助メーターを2つ並べている。おしゃれなキルティング内装はS500だけに採用され、S600にはない。インテリアカラーは、ブラックのほか、鮮やかなレッドが用意されていた。

Sシリーズの最初の作品となったホンダS500は3つの工場を使ってクルマを完成させている。鈴鹿製作所でシャシーを組み上げ、埼玉製作所ではエンジンを生産。これらの部品を浜松製作所に持ち込み、1台のクルマに仕上げているのだ。

ホンダS500は、軽自動車より少し高価な45万9000円で販売された。その価値と魅力を知っている人にはリーズナブルだと感じられる。だが、日本のマイカー市場は趣味のクルマが売れるほどには熟していなかった。欲しいと思う人は多かったが、2シーターのオープンカーであるために二の足を踏んだのである。購入を考えながら、諦めてしまう人がたくさんいた。生産台数は、わずか1363台という結果になった。

また、もう少し余裕あるパワーが欲しいという声も少なくない。500ccでは輸出するのは難しいとホンダもわかっていたのだろう。年が明けた1964年3月に排気量を75cc増やした発展型のS600を投入している。

エクステリアとインテリアは、S500と大きくは変わってはいない。しばらくの間はS500も併売の形で生産を続けていたが、秋に狭山工場が稼働したのを機に姿を消してしまったのである。

排気量を75cc拡大し最高出力は13ps向上させ使い勝手良好なファストバックを新設定

S600が搭載するのはAS285E型DOHCエンジンだ。S500が積むAS280E型のボアを0.5mm広げ、ストロークを7mm延ばして排気量を606ccとしている。キャブレターは4基のCVキャブを受け継いだ。圧縮比も9.5と変わっていない。

だが、大幅パワーアップを果たしている。最高出力は57ps/8500rpm、最大トルクは5.2kgm/5500rpmだ。リッター当たり出力はレーシングエンジン並みの94.1ps/Lを達成している。最高速は145km/hに向上し、0-400m加速は18.7秒の俊足を誇る。

1964年秋にホンダは狭山工場を完成させた。11月以降のS600は狭山工場製になる。これを機にグリルの格子を細かいデザインに変更し、メッキの存在感を強調した。フロントバンパーも中央部分を一段下げた新デザインだ。特徴的だったヘッドライトのカバーは省かれている。インテリアはビニールレザーの内装とハンドレバー式のパーキングブレーキが新しい。スピードメーターは180km/h表示になった。

S600は発売した直後に早くもサーキットに姿を見せている。1964年5月に開催された第2回日本グランプリは、1000cc以下のマシンによって争われるGT-Iレースにエントリーした。予選から排気量に勝るマーコスGTと互角に渡り合い、ロニー・バックナムが優勝。北野 元が2位に入り、4位までを独占する。

1964年11月にはファストバックデザインのS600クーペを売り出すことを公表する。時代に先駆けてリアにハッチゲートを装備し、十分なラゲッジ容量を確保した。ビジネスからレジャーまでマルチに使うことができ、発売されるやヨーロッパではファン層を増やしている。

フルオープンのS600との違いはわかりやすい。ドアを開けるとサッシュ付きのドアガラスになっているからだ。また、燃料タンクを左側のリアフェンダーの内側に移した。そのためトランクのヒンジ横にあったフィラーキャップは、リアクオーターピラー中央の目立つ位置に移設しされている。

インテリアではパッセンジャーシートを可倒式に変更し、スペアタイヤも設置場所を移動させている。S600クーペの発売は1965年2月だったが、この時期にデラックス仕様も仲間に加えた。それがSM600とSM600クーペだ。オプション扱いだったヒーター、ラジオ、バックアップランプを標準装備とし、快適性と安全性を高めている。

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