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世界にたった26台! 4800万円で落札されたフランク・シナトラもオーダーしたギア「L 6.4」とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

長年表舞台から姿を消していたせいか、落札価格はかなり安めにとどまる

RMサザビーズ「ARIZONA 2024」オークションに出品されていたギアL 6.4は、イタリアのトリノにてカロッツェリア・ギアが生産した26台のうち、比較的後期に生産された1台と目されている。

ギアで新車として製作された時と同様に、「ロッソ・ルビーノ(ルビーレッド)」に「イングリッシュ・サドル(ナチュラルブラウン)」の本革レザーインテリアという、とても魅力的な組み合わせで仕上げられている。

このカラー・コンビネーションの車両は、1962年10月のパリ・サロンにて展示され、その写真のコピーが付属のヒストリーファイルに含まれているのだが、今回の出品車両がパリ・サロンに展示された個体そのものであるかどうかは、現時点では未確定のようだ。

そしてこのギアL 6.4は、1962年末から1963年初頭にかけて、クウェート王室の一員であったファーストオーナーに新車として販売されたとのこと。驚くべきことに、このクルマは2023年5月に今回のオークション委託者でもある現オーナーに譲渡され、米国に送り出されるその日まで、じつに約60年もの長きにわたり初代オーナーのもとにあった。

現在のオーナーの所有は、オークション出品時点でわずか半年に過ぎず、前オーナーであるクウェート王族の独占的な所有権の恩恵を受けていたことについても、今回の販売に際して添付されるヒストリーファイル上に、克明に記されていたという。

上質なイタリアのデザインと、頑強なアメリカのエンジニアリングが融合したアメリカ+イタリア混血のグラントゥリズモは、1960〜70年代までひとつの理想ともいわれていたそうだが、このモデルはカロッツェリア主導によるものとしては究極的なものであるとともに、希少なフルオーダーメイド車でもある。

RMサザビーズ北米本社と現オーナーは、競技の結果として32万5000ドル~37万5000ドルのエスティメート(推定落札価格)を設定した。2024年1月25日に行われた競売では32万5000ドル、日本円に換算すれば約4820万円で競売人の掌中のハンマーが落とされることになった。

生産台数はわずか26台で、残存数はもっと少ないであろうギアL 6.4ゆえに、現在のクラシックカーマーケットに姿を現す機会は、せいぜい数年に一度くらいのペース。現在のマーケット相場というのが予想しにくいクルマではあるのだが、それでも2016年のRMサザビーズ「Monterey」にて57万7500ドル。同じくRMサザビーズ「Monterey」の2023年版にて66万5000ドルで落札された事例から比較すると、今回の出品車の落札価格は約半分。コンディションや来歴などに、いささかの瑕疵があった可能性も否めない。

くわえて、上記2台の「Monterey」出品車は、ともにアメリカ国内の一流コンクール・デレガンス受賞歴のある個体であることからも、やはりコンクールでの「お墨つき」は、マーケット評価の加減においても大きな影響を及ぼすのは必定なのであろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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