スポーツカー・マニアの誰をも納得させる性能だった
前後のサスペンションは、こちらも専用のチューニングを受けた前後独立型のコイルオーバー式。タイヤはフロントに255/35ZR19、リアには285/30ZR20サイズのダンロップ製SPスーパースポーツ・レースセミスリックが与えられ、0-100km/h、200km/h、250km/h加速は、それぞれ4.1秒、12.2秒、20.7秒でそれをこなすことが可能だった。
最高速は電子制御リミッターにより320km/hに制限されていたが(2005年にデリバリーが開始されたカブリオレは300km/hに最高速は制御された)、その運動性能はDTMでのメルセデス・ファンならずとも、スポーツカー・マニアの誰をも納得させるものであったに違いない。
今回パリ・オークションに出品されたCLK DTM AMGは、2005年5月に完成したもので、アンスラサイトの内装に、ブリリアントシルバーメタリックのボディカラーという、人気のカラー・コンビネーションで仕上げられた1台だ。さらにトリム&装備レベルではアバンギャルド・パッケージが備わっており、RMサザビーズの調べによればこのモデルは新車で日本にデリバリーされたものと推察できるという。
それからヨーロッパに戻り、今回のオークションまでに走行した距離は1万8367km。オーナーズマニュアル、サービスブック、ジャッキ、エアコンプレッサーが付属するほか、2023年8月にドイツで行われた最新のサービス記録も残されている。
カブリオレをあわせても、わずかに180台しか存在しないCLK DTM AMG。オークションの会場では、もちろんその入札価格の動きに注目が集まったが、その数字はRMサザビーズによる予想落札価格を超えても止まることはなかった。
最終的にハンマーが振り下ろされたのは、なんと46万625ユーロ(同7370万円)。新車価格の2倍近くにまでその価値は高まったという計算になる。