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AGSのスズキ「アルト」でMT車に負けない走りを披露! 軽自動車レース「東北660選手権」の注目選手を紹介

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

スキルアップして走りに磨きをかけた

ターニングポイントと語るのは念願の初優勝を遂げた開幕戦ではなく、終日ウェット路面だった最終戦(HA36カップは併催で第2戦)だ。その少し前にプロドライバーによるドライビングレッスンに参加し、今まで意識してなかったブレーキや荷重移動の欠点を知ったという。それらを実践しスリッピーな雨のなかでも自信を持って走行でき、両カテゴリーで練習・予選・決勝と一度もトップを譲ることなく、ポールポジションとファステストラップも獲得するという完全勝利を成し遂げた。

東北660選手権に参戦する猪又真輝選手

もうひとつの注目したいポイントは東北660・HA36カップにおいて、MTでスタートが有利なはずの1クラスよりも上でゴールしたこと。舞台となったエビスサーキット西コースは抜きどころが少なく、厳しい車両規定でマシンの戦闘力にも差がほとんどないため、スタートで前に出られてしまえば抜き返すのは至難の業なのだ。

「このときに新しいスタートの方法を試してみたんです。決して特殊なことじゃないと思うけどたぶん僕しかやっていないと思うし、ドライバーとしてはライバルの大森さんにも教えていません(笑)」

と話す猪又。車両にしろ運転にしろまだまだHA36のAGSは進化の途中と考えており、今シーズンもふたつのカテゴリーに参戦してさらなる高みを目指しつつ、チーム・ネクザスとして若手を束ね東北660耐久レースにも参戦する。

また、2023年はプライベートでも大きな転機があった。猪又が大きな転機だったと振り返る最終戦の少し前に結婚し、当日は奥さんがエビスサーキットで優勝の瞬間を見守った。クルマやレースにはまったく無縁の奥さんから、マジメに取り組んでいる趣味と認められ、表彰式の後にはチーム員たちと記念撮影も。奥さんからレーシングスーツをプレゼントされ、今シーズンの目標はモチロン両シリーズの連覇だ。

さらに引き出しを増やしそうな猪又がぶっち切るのか、それとも新たな2ペダル乗りのヒーローが登場するのか。4月14日の東北660選手権・開幕戦は要チェックだ。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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