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先代スズキ「アルト」はサーキットで遊んで正解! モータースポーツデビューにうってつけのチューニングメニューとは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • HA36マシンのイメージ
  • オートリサーチ米沢のデモカーは剥き出し型のエアクリーナーにエアダクトを引いている
  • オートリサーチ米沢のマフラーは異端といっていいφ50。さまざまな太さを試した結果、自社ECUともっとも相性がよかったそうだ
  • HA36カップは最低重量の規定がある。そのため極端な軽量化はできないが、小型バッテリーは重量バランスの最適化にも役立つはず
  • レースは気温が高い時期にも開催される。ラジエターの容量アップや開弁率の高いキャップ、レース用クーラントなどの対策は必須
  • 勝てる足として高い人気を誇るオートリサーチ米沢のオリジナル車高調。ブレーキはパッドを強化品に、ローターも定期的に交換する
  • テストを重ねた結果スプリングレートは前後10kgに落ち着いた。車高の調整はフルタップ式で減衰力は12段とセッティング幅が広い
  • 最初こそ前後ともスタビライザーを装着していたが、現在はリアのみとなっている。このあたりはドライバーの好みで異なってくると思われる
  • タイヤは165幅のセカンドグレード限定で偏平率とインチは自由だ。ブリヂストン・ポテンザ アドレナリンRE004のワンメイク状態が続いている
  • 電子スロットルコントローラーも必須といえるパーツ。コースや路面コンディションに合わせて効きを調整できるタイプが使いやすい
  • ロールケージに前後の牽引フック、バケットシートや4点式シートベルトはほかのレースと同様に必須だ。取り付け位置や方法も確実に
  • 2023年のHA36カップはデモカーを駆る小松日高選手がシリーズ2位。チャンピオンの茂木大輝選手もオートリサーチ米沢の一員だ
  • これがなければ始まらないオリジナルECU。レブリミットこそ変更できないが、燃調や点火時期を最適化することで格段にパワーアップする
  • 今から東北660シリーズを楽しむなら、何といってもHA36がイチオシ。NAにワンメイクレース、耐久とすべてのカテゴリーで強い

今注目のマシン「HA36アルト」

2022年に始まった軽自動車レース「東北660・HA36カップ」。読んで字の如くHA36型スズキ「アルト」のワンメイクレースで、クラスはMTとAGS&CVTのふたつに分かれています。今回はHA36アルトの魅力とマシンメイクについて解説します。

ECU書き換えもOK! 意外と改造範囲は広い

当初は「遅いし面白くない」と酷評されることもあったHA36だが、一部のプロショップはデビュー直後から地道な開発を続けていた。そのひとつが山形県のオートリサーチ米沢で、初年度はふたつのクラスでチャンピオンを獲得。とくに最終戦での細田駿也選手(2クラス)と大越海斗選手(1クラス)の総合優勝を巡る同門対決は、ほぼ同時にチェッカーフラッグを受け写真判定で勝敗が決まるというドラマのような幕切れだった。

続く2023年もドライバーこそ変わったが表彰台の常連で、1クラスでも2クラスでもシリーズランキングの上位に入賞。誰が乗っても速く扱いやすいことを目指して作り込んだ、オートリサーチ米沢の1クラス仕様デモカーを例に、HA36カップ車両のツボを押さえた作り方を解説したい。

まずは必須アイテムであるECU。HA36カップは純正ECUの書き換えが認められており、電子スロットルコントローラーとの併用が定番になっている。正直いってECUがノーマルでは勝負権がないどころか、フィーリングも悪くまさに「遅いし面白くない」なのだ。

ECU

エアクリーナーは効率を重視した剥き出しタイプや、エンジンの熱による影響を受けにくい純正形状などがあり、チューナーやドライバーの好みによって違うようだ。

それより熟慮したいのはマフラー。オートリサーチ米沢ではECUとの相性を何パターンもテストし、自社ECUに合わせたφ50のオリジナルマフラーを発売している。もっと径が細い一般的なマフラーと自社ECUの組み合わせでは高回転域の抜けが悪くなり、逆に他社のECUにオリジナルマフラーでは抜けすぎて低速が細くなるという。長い2本のストレートを有するスポーツランドSUGOから、タイトコーナーが多いエビスサーキットまで対応できる、オールマイティなスペックに仕上がったとのことだ。

もうひとつのポイントは足まわり。オートリサーチ米沢ではHA36カップが始まる何年も前からオリジナルの車高調を開発し、大勢のドライバーに意見を聞きつつ「速く乗りやすい」仕様を目指し試行錯誤を重ねてきた。現在はスプリングレートが前後とも10kgで、スタビライザーはリアのみクスコを装着する。

このHA36アルトは複数のドライバーが乗る東北660耐久レースにも参戦しているが、誰が乗っても路面コンディションに関係なく安定したタイムを刻む表彰台の常連だ。まさにコンセプトどおり乗り手を選ばず安定して速い特性を持っているといっていい。

今後参戦マシンが増えそうな注目株!

そのほかはブレーキパッドや車両規則で装着が義務となっているロールケージ、バケットシートに4点式シートベルトくらいでレース仕様が完成する。なおタイヤはハイグリップラジアルが使用できず、いわゆるセカンドグレードのラジアル限定で、幅も165のみ(扁平率やインチは自由)だ。大半の参加者はブリヂストン・ポテンザ アドレナリンRE004を使っており、その点でもイコールコンディション化が促進されたといっていい。

新規格のNAエンジン軽自動車で争われる東北660選手権よりも改造範囲を狭くしてコストを抑制、かつ酷評された原因であるECUは書き換えを認めて速さと楽しさを両立。そのうえHA36カップ仕様のまま東北660選手権、東北660耐久レースにもエントリーできる。ちなみに現時点でMTとAGS(CVTは未知数)に戦闘力の差はないため、低コストで作りたいなら中古車の価格が安いAGSを狙ってもいいだろう。

オートリサーチ米沢ではベース車両の販売からレースカー製作、サーキットでのサポートまで親身になってサポートしてくれる。さらに、東北660シリーズで戦うユーザーが多いためデータも豊富に持つ。興味がある人やタイムが伸び悩んでいる人、一緒にレースを楽しめる仲間が欲しい人、サーキットを体験したい人は気軽に相談してみよう。

【取材協力】
オートリサーチ米沢
https://www.ary-web.com

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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