人生には大きな影響や分岐を与えるモノがある
親子三代に続く物語であり、その親子を繋ぐもののひとつにクルマが重要な意味合いを持つわけだが、最新のクルマが出てこない、というのがミソ。それは人の人生に何十年の時間経過があるように、その時代を共に生きたモノが、音楽だったり、書籍だったり、映画だったりが、大きな影響や分岐を与える。それが本作の登場人物たちにはクルマであったわけで。
クルマというものは単純に移動手段だけのものではなく、デザイン、その当時の製作社(者)の思い、流行などさまざまなものが詰まっている。そしてそこに感化された者には「そのクルマでなければならない」という願いや思いがある。そしてその変わらない思いは、家族に対する思いも同じなのだと、本作品は語りかけてくる。
本編に登場するオールドカーたちはマニュアル車全盛の時代。手間がかかったり、運転しづらかったり、燃費が悪かったり、それは自分が選んだ車には仕方なくつきまとうものだった。そしてそれはもしかしたら家族との距離感にも繋がるものがないだろうか。

理解し合いたい、けど分かってもらえない。言いたくても言えないこと。でも最終的には頼りにしてしまうもの。少々強引かもしれないが、オールドカーたちと家族という形は似たような部分もあるような気がするのだ。
道を選ぶ自由が、人生を豊かにする
今後発売されていくであろう、自動運転車などにはそうした感覚は生まれづらいのではないだろうか。カーナビで選んだ場所にクルマが勝手に連れて行ってくれる。それは確かに便利ではあろう。だが、自分が運転しないで、人生や道中の景色を楽しむことはできないのではないだろうか。
自分の人生は自分で選んで進みたい。それでこそ、思い出や幸福は、その人だけのものになるのだから。そんなこともちょっとだけ気づかせてくれる1本だ。








































