個人の障がいに合わせてプログラムを組んで展開
障がいを持った人でもバイクに乗る機会を設けようと、公益社団法人SSP(サイドスタンドプロジェクト)は「パラモトライダー体験走行会」を定期的に開催しています。SSPは2025年4月1日(火)に、一般社団法人から公益社団法人へと法人格の変更。公益社団法人として最初の「パラモトライダー体験走行会」が2025年4月21日(月)、神奈川県川崎市の向ヶ丘自動車学校にて開催されました。
2つのプログラムを同時に開催
「パラモトライダー体験走行会」は、事故や病気といった後天性の機能障がいや先天性の障がいの方がで、バイクに乗りたいという想いを実現する体験イベントだ。バイクに乗る楽しさを体感してもらい、障がいがあっても諦めない心を育むことを目的として開催している。
SSPは、参加者に合わせて独自に改造したバイクを用意。安全のための装備のほかに、走行する場所を提供する形で開催している「パラモトライダー体験走行会」は2020年にスタートし、2025年で6年目。下肢に障がいがある方には、手元でシフト操作が行えるハンドシフトユニットや転倒防止のためのアウトリガーを装備した車両を使用。また、ヘルメットにはインカムを装着し、スタッフとのコミュニケーションが可能な状態にしている。
車両への乗降については、ボランティアスタッフがサポート。また走行時にもボランティアスタッフが一緒に走って、万が一の際には即座にサポートできるよう体制を整えている。さらに理学療法士も参加し、各参加者の体調や状態に応じたサポートを行っている。
参加者は交通事故などによる脊髄損傷や大腿切断をはじめ、視覚障がいなどさまざまな機能障がいを負っている。SSPでは、各参加者に寄り添って、毎回バイクの改造をはじめとした各個人の障がいに合わせてプログラムを組んで展開している。
走行場所はサーキットや駐車場、休校日の自動車教習所などを使用し、完全にクローズドな状態で安全に配慮して開催をしてきている。
今回は脊髄損傷の4名が参加。無事に事故なく各参加者が予定の走行練習を行うことができた。また新たに大型バイクの練習会を開催。SSPでは「パラモトライダー体験走行会」以外にも神奈川県にある箱根ターンパイクを占有した公道でのバイクツーリングの機会も設けていた。しかし参加するライダーから、年に1回の箱根ツーリングだけでは不安がある……もっと走行の練習をする機会がほしい、という要望に今回応えたわけだ。
大型バイクを走らせるには、スタッフも走行場所も必要となる。開催場所となった向ヶ丘自動車学校のコースでは区分けをして行われた。体験走行会はインフィールド側を大型バイクについては外周路を使用することでその課題をクリア。さらにバイクには自動補助輪を装着し、走り出しや停止の際のボランティアスタッフの作業をなくすことができるようになった。
盲目でも箱根を走りたい
すべての人にバイクに乗る楽しみを、というコンセプトでこのイベントを行っているSSPでは、多くの方のバイクに乗りたい夢を実現してきた。しかし視覚障がいの方々の「箱根を一緒に走りたい」という夢は実現できていない。
今回の向ヶ丘自動車学校における「パラモトライダー体験走行会」にボランティアで参加していたのが静岡大学の木谷友哉教授をはじめとする木谷研究室の皆さん。木谷教授の「二輪車情報学研究室」は、自動二輪車を対象に車体や周辺環境をセンシングする研究開発を行っている。2輪に特化した高度交通システム(ITS)の研究を行っている研究室は非常に少ないが、この2輪のセンシング技術を用いてみると、視覚障がいを負っていても箱根のルートを実際に走行できるのではないか? 今回実地の見学も含め研究室のメンバーでやってきた。
実際の走行までにどんなハードルがあるかも含め、すぐに実現できることではない。しかし、この研究開発が進めば、SSPの現場で2輪車の進化が見られるかもしれない。






















































