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今では絶対にありえない!フィアット歴史センターの貴重な展示車を街中で試乗させてもらった【クルマ昔噺】

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)

  • 広報用のクルマとして貸し出してくれたフィアット 131ディーゼル
  • フィアット16-20フェートン(1923年)。背後のガラスケースには多くの模型が並ぶ
  • フィアット ティーポ ゼロ(1912〜1915年)
  • フィアットバリラ(1934〜1937年)
  • 館内はコンパクトで、多くの車両は並べられない
  • 2万1706cc直6エンジンを搭載する巨大なフィアット メフィストフェレス
  • 玄関のガラス戸には「チェントロ・ストリコ」の文字が
  • 当時の博物館館長。お名前を失念してしまったが、素晴らしい試乗体験を提案してくれた
  • 排気量2万1706ccの航空機用の直6エンジンを搭載
  • 初日に迎えに来てくれたフィアット 130クーペ
  • 博物館前に駐車したフィアット8V
  • 博物館の玄関正面に置かれていたフィアット124アバルトラリー

フィアットの原点を伝える「チェントロ・ストリコ」

モータージャーナリストの中村孝仁氏の経験談を今に伝える連載。今回は、イタリア車好きにとって特別な場所を紹介します。それはトリノにある「チェントロ・ストリコ・フィアット(フィアット歴史センター)」です。巨大メーカーの博物館でありながら、その空気感はどこか親しみやすく、展示車両も驚くほど近いところにありました。著者が1970年代に実際に訪れたときの歴史センターならではの忘れがたいエピソードを交えながら、フィアットというブランドの懐の深さを紹介します。

館長のはからいで今では考えられないほど奇跡的の体験

フィアットの博物館は「チェントロ・ストリコ・フィアット」という。日本語に訳せば、フィアット歴史センターというところである。もともとフィアットはFIAT(ファブリカ・イタリアーナ・アウトモビリ・トリノ)の頭文字だ。イタリアの自動車会社の多くは、こうした頭文字の並びを社名にしている。ALFAしかり、OSCAしかりといった具合である。

ここを訪れたのは、1979年のこと。もう名前を失念してしまったが、当時の博物館の館長であった方が取材の終わりに

「何か好きなクルマを乗せてあげるから言いなさい」

という信じられないオファーをくれた。それならこれ、と指したあるクルマは

「あれはダメだ。理由は路上を走る仮ナンバーが取得できないから」

とのこと。

ならばこれ、と指したのが「フィアット8V」と名付けられた、2LのV8エンジンを搭載した洒落たスポーツクーペ。

すると

「OK、ほかには?」

と来た。

伝説のラリーカーと希少なクルマでトリノの街を走る

あり得ないと思いつつ、じゃあこれ、と指したのはフィアット「124アバルトラリー」である。と言ってもただのアバルトラリーではなく、マウリツィオ・ヴェリーニが1975年のヨーロピアン・ラリー・チャンピオンを獲得したマシンそのものである。このマシンはフランス、スペイン、イタリア、ユーゴスラビア、そしてポーランドで優勝したマシンだ。そんなクルマを貸し出して試乗させてくれるという。信じがたいのだが。

「じゃあ明日、2台を玄関前に止めておくから乗ってきなさい……」

そして翌朝、博物館前に行くと、前日まで飾ってあった2台のクルマが本当に玄関前に止めてあった。それに乗って、トリノのヴァレンティノ公園を目指したのだが、行きが8V、帰りが124という超豪華な試乗体験ができた。

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