29連勝で目論見どおりにグループAレースを席巻
89年の10月に登場した新世代のGT-R(BNR32)は、翌90年の全日本ツーリングカー選手権にデビュー。開幕戦の舞台となった山口県の西日本サーキットには、約20年ぶりとなるGT-Rのサーキット復活に、4万1000人のファンが駆けつけた。
決勝日は酷い渋滞となり、「クルマが全く進まず、レースに間に合うかヒヤヒヤした」という日産の関係者も少なくなかったようだ。そんなデビューレースは、星野一義/鈴木利男組と長谷見昌弘/アンデルス・オロフソン組、2台のGT-Rがフロントローから好スタート。3位以下を総て周回遅れに蹴散らす快走でライバルを圧倒し、見事なワン・ツーフィニッシュで復帰戦を飾ることになった。
そこから連戦連勝が続くことになるのだが、実はGT-Rは駆動系がアキレス腱となっていた。550馬力以上のハイパワー/トルクを、4輪駆動システムを介して路面にすべて伝えることで、駆動系にシワ寄せが来ていたのだ。デビュー戦でも長谷見組はミッションが音をあげてしまい、星野組から1周遅れとなっている。それでも3位には1周以上の差をつけていたのだが…。
ともかく、ライバルに対してポテンシャルでは圧倒的な差があったから、2戦目以降は、駆動系を気遣いながらもGT-Rがその速さを見せつける展開となった。そして93年シーズンでグループAによる全日本ツーリングカー選手権が終了するまで、デビュー戦からの全29レースを無傷のまま、29連勝を飾ることになったのだ。
カルソニックブルーに塗られた12号車はデビューシーズンに6戦5勝、2位1回と圧倒的なパフォーマンスを見せつけて、見事チャンピオンに輝いた星野一義/鈴木利男組のクルマ。