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トヨタ マークX年内で販売終了! 国産セダン不況でクラウンだけが支持されるワケ

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TEXT: 渡辺陽一郎  PHOTO: Auto Messe Web編集部

すべてを「日本ファースト」で造り込んだ

 今は高価格車とセダンが売りにくい時代だといわれる。価格の高いLサイズセダンは、不人気車の代表だろう。月別の販売統計を見ると、価格が300万円を超えるセダンの大半は、1か月平均の登録台数が1000台以下にとどまる。

 ところがクラウンだけは販売が堅調だ。売れ筋グレードの価格は500万〜600万円に達するが、1か月に4000〜5000台を登録する。現行型は2018年6月に発売された設計の新しい状態だから、売れ行きが一層伸びた。

 またクラウンは、以前から中古車市場で高値安定型の商品とされている。初度登録から約7年を経過した2012年式の先代モデルでも、2.5アスリートなどが180万〜200万円で販売される。フーガの2.5リッターエンジン搭載車は、同じ年式でも140万〜170万円だから、クラウンの中古車価格は全般的に高い。

 つまりクラウンは、新車と中古車の両方で人気車だ。12代目の「ゼロクラウン」は、今でもドレスアップを楽しむユーザーの間で人気が高く、各種のパーツも販売されている。

 ちなみに12代目クラウンが販売されたのは2003年から2008年だから、最終型から数えても11年が経過する。今のクルマは耐久性が高まったが、さすがに10年以上を経過すると不安も生じる。それを購入してドレスアップも楽しむのは、クラウンが一種のブランドとして定着している証拠だ。

 実際、2008年式クラウンの程度の良い中古車は、120万〜140万円で販売される。10年以上を経過しても、十分な資産価値が確保され、ユーザーにとってのメリットは大きい。

国内マーケットをターゲットに開発

 クラウンがここまで人気を高めた理由は、今では唯一日本向けに開発された高級セダンになるからだ。レクサスのLSやGS、フーガ、レジェンドなどは海外向けに開発されるが、クラウンは基本的に日本国内を対象にしている。全幅を1800mmに抑えたボディサイズ、混雑した街中で運転のしやすい優れた視界、日本のユーザーの高級感に訴える内外装のデザイン、日本の走行速度で最良の乗り心地と安定性が得られる足まわりなど、すべてを「日本ファースト」で造り込んだ。

 そしてクラウンは、初代モデルを1955年に発売したトヨタの根幹に位置する乗用車だから、ブランド力と認知度はセダンの中でも特に高い。販売店のトヨタ店も、主力車種として大切に売ってきた。これらの総合力が、クラウンを不動の人気車に押し上げている。

 つまりクルマを長期間にわたって好調に売り、リセールバリューを含めて高い資産価値を発揮させるには、走行性能などの商品力が優れているだけではダメだ。長い時間を費やして熟成されたブランド力、ディーラーの販売力やサービス力が求められる。クラウンはそれを高次元で両立させた。

 そのためにクラウンのユーザーには、新型が登場すると、その内容を見ないで無条件に乗り替える人が今でも少なからずいる。これはまさにクラウンのブランド力と信頼性が、メルセデスベンツSクラスも太刀打ちできないほど高いことを示している。

 しかし今後の動向は分からない。トヨタは2022〜2025年に、全店が全車を売る体制に移行すると発表したからだ。東京地区は2019年4月1日からトヨタモビリティ東京に統合され、4系列の区分がなくなった。トヨタ店あってこそのクラウンが、今後は専売化された販売系列の後ろ盾を失う。そうなるとクラウンが、いつまでも特別な高級セダンで居続けられる保証はない。もちろんトヨタはそれを承知の上で、全店併売による車種数と店舗数の削減に乗り出した。

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