EVはクルマに電気を貯められるのも利点
では、なぜ次世代車はEV(電気自動車)といわれるのか。EV以外の車種はいずれも、クルマとしての環境性能しか語られない。しかし、EVは電気を使うことによって、家庭電化製品と同様に我々の生活を支えるあらゆるものと同じエネルギーを利用するため、相互に補完しあいながら世界全体のエネルギー消費の無駄を省き、生活全体での環境保全に役立つからである。
代表的なのが、ヴィークル・トゥ・ホーム(V to H)と呼ばれる取り組みだ。EVを使わないときは家に電気を戻すことで、電力を有効活用するとともに、電気料金も節約しようというのである。これに、太陽光発電を組み合わせると、電力会社からの電力消費を抑えることにもつながり、それは環境にも経済的にも利点となる。
しかも、災害が頻発している昨今、EVからの電力供給を様々な形で行うことができる。そのための電力をEVから取り出す装置は必要になるが、既存のエンジン車や、代替燃料車では、電力供給を行うのが難しい。
また災害によって道路の寸断などが起こると、ガソリンや軽油、あるいは代替燃料をスタンドへ供給すること自体ままならなくなるが、電力会社からの送電網はそれら社会基盤に比べ早く復旧する可能性があり、また太陽光発電などが稼働していれば、そこからEVに充電し、移動して避難場所など必要な所に電力を供給することも不可能ではない。
もちろん、完璧ではないにしても、まず地球環境の保全を前提に、生活支援や災害支援を含めた活躍の場は、EVとそれ以外の車両では貢献の次元が異なるのである。
一刻も早いEVの普及が、生活の安心を支えることになる。