急成長を体現した懐かしき「小型自動車」 昭和60年代の売れ筋を振り返ってみた (1/3ページ)

急成長を体現した懐かしき「小型自動車」  昭和60年代の売れ筋を振り返ってみた

“軽”を超えて本格的な乗用車へ躍進

 流麗な2ドアクーペも、ダイナミックなスポーツカーも、あこがれる存在ではありましたが、やはり多くの国民にとって現実的ないい乗用車は、”大衆車”と呼ばれる小型乗用車でした。60年代には、優れたモデルが数多く誕生。中でも自動車税の関係から人気が高まってきたのが排気量1000cc以下のクラスでした。

 排気量が360cc以下から600㏄以下へとクラス発展していった軽自動車とは異なり、本格的な自動車の趣もありました。そんな1000㏄クラスの優れた小型乗用車6台を、その出自にかかわる系列車も含めて紹介しましょう。

 

世界的ヒットとなったカローラへのプロローグ

【トヨタ・パブリカ/カローラ】

 国産車を代表する、というだけでなく世界的にも大ヒットしたクルマとして知られる小型乗用車がトヨタの「カローラ」。小型乗用車を1000㏄クラスに限定することもありますが、1100㏄と排気量が大きいからと言って、この世界的ヒット車を紹介しない手はありません。

 まずはエピローグとして、700㏄からスタートした「パブリカ」から話を進めていきましょう。1955年に通商産業省(現・経済産業省の前身)の”国民車構想”がスクープされたところから、このストーリーが始まりました。

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 トヨタの回答は、61年に登場した初代パブリカ。空冷700㏄のプッシュロッド・フラットツイン28馬力を搭載、最高速度110㎞/hを謳った「パブリカ700」は、質実剛健を地で行くクルマでした。

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 ただし、当時はまだクルマのステイタス性が重要視されていたのか、販売的には苦戦。2年後のマイナーチェンジでラジオやヒーター、リクライニングシートを備えた”デラックス仕様”を追加設定し販売が上向きに転じます。

 これがトヨタにとっての原体験となったようで、パブリカの上級モデルとなるカローラの開発では、1100㏄エンジンを搭載。『プラス100㏄の余裕』を謳ってライバルを上回る販売台数を得ることになりました。

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 恐縮ながらパブリカ700の中古に始まったトヨタのモータリゼーションは、800の新車、そして水冷化されたパブリカ1000とまさに販売政策に乗り、豪華でモダンになっていったのも懐かしい思い出です。

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突如登場した1000㏄クラスのエース

【ダットサン・サニー】

 1000㏄クラスの小型乗用車は多くの場合、600~800㏄クラスのクルマから発展して登場。もちろんそうでないクルマもあり、その例外の一つが1966年に登場した日産の「サニー」だったのです。

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 発売に向けては車名公募のキャンペーンが行われ、同社の小型乗用車ブランドと組み合わせて「ダットサン・サニー」と命名。2ドア/3ボックスのモノコックボディに1000㏄のプッシュロッド直4エンジンを搭載。前後サスペンションは、横置きのリーフスプリングで吊ったウィッシュボーン式/リーフ・リジッドと、コンベンショナルなパッケージングで纏められていました。

 バランスの取れた仕上がりは好印象で、多くのファンをつかむことに成功。しかし、その一方では1100㏄の排気量で半年後に登場したカローラが『プラス100㏄の余裕』で攻勢に出ると、今度はサニーが、70年のモデルチェンジでエンジン排気量を1200㏄に引き上げ。CMのフレーズで『隣のクルマが小さく見えます』とやり返し、ライバル競争が激化していったのです。

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 ただ、同時にモデルチェンジの度にエンジン/ボディを肥大化させていく悪しき循環に陥ってしまったのも事実。不要なまでに肥大化していくクルマが多い中、軽量コンパクトで、スペック以上のポテンシャルを備えた1000㏄の初代モデルが懐かしく思える今日この頃です。

 

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