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「段差がない」「開口部が広い」だけじゃない! 高齢者が本当に「乗り降りしやすい」ミニバン4台とその理由

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TEXT: 青山尚暉(AOYAMA Naoki)  PHOTO: Auto Messe Web編集部、ホンダ

本当に乗りやすい2列目に「必要な仕様」とは

 高齢者などの家族がいる家庭で、福祉車両まではいらず、しかし高齢者が自らクルマに乗り降りする際、できるだけ足腰の負担なく、スムーズに乗り降りを行えるクルマを考えると、一般車両ではミニバンが適切だ。しかも、両側スライドドアでステップが低く、ステップとフロアに段差のない、いわゆる「掃き出しフロア」を備え、なおかつ高全高のミニバンがベストだ。

 つまり、主にボックス型ミニバンがリストアップされることになるのだが、同じボックスミニバンのカテゴリーでも、乗り降りのしやすさに差があるのも事実。ここでは後席に本当に乗り降りしやすいミニバンを、筆者の実測データから見極め、紹介していきたい。

姿勢を極力変えずに乗降できるものがベスト

 両側スライドドアは電動、さらに足先の出し入れで開閉や解錠、旋鍵ができるタイプが便利で理想だが、実はもっと重要なチェックポイントがある。先ほどステップが低く、ステップとフロアに段差のない、いわゆる「掃き出しフロア」を備えているといいと説明したが、そのあとの全高にかかわるスライドドア開口部の高さが、開口部の幅よりも、特に足腰の弱った高齢者の乗り降りのしやすさにかかわってくるのである。

 乗り込む人の身長にもよるが、スライドドア開口部高は1200mm以上あると乗り込みやすくなる。ちなみにコンパクトカーやセダンの、頭をかがめて乗り降りする必要のあるリヤドア開口部高は1000mm前後である。

 つまり、開口高がたっぷりあれば、背中を大きく曲げずに、自然な姿勢で乗り込みやすくなり、足腰にも負担がかかりにくいというわけだ。もちろん、Bピラーのアシストグリップもマストな装備と言えるが、高齢者の握力の強弱によっては、それを握るのも大変で、むしろ助手席のシートバックの肩部分やヘッドレストに手をかけたほうがいい場合もある。

 また意外に見落としがちなのが、着座・立ち上がり性能だ。聞きなれない言葉かも知れないが、ようは後席フロアに乗り込んでから、シートに腰を落としやすいか、降車の際、腰を持ち上げやすいか? である。これは、フロアに対してシートが低すぎると、着座の際は腰を落とす移動量が大きくなり、大変。降車の場面では、ローソファよりダイニングの椅子のほうが立ち上がりやすいのと同じで、やはりシート位置がフロアに対して高めの、専門用語でヒール段差が高いほうが立ち上がりやすくなる(足が引けることも重要。主に3列目席の場合だが)。

 降車時には、手で体重を支える必要があるが、天井左右のアシストグリップに手が届きにくい可能性があり(四十肩のように手が上がりにくいため)、あらかじめシートスライド位置を前寄りにセットし、前席に手をかけやすくしてあげると、より降車しやすくなるはずだ。

 そんな要件の多くを満たすミニバンとしてまず挙げられそうなのが、トヨタのフラッグシップミニバン、VIPや芸能関係者にも人気絶大なアルファードだが、残念ながら、今回の企画の趣旨の用件のすべてを満たさない。何故なら、スライドドア開口部高1310mm、2列目席のヒール段差355mmは優秀だが、ステップ高350mmは文句なしながら、フロアはそこから100mm高い位置にある。つまり、階段を2段上がるような乗車性になるのだ。

 階段が苦手でなければまったく問題ないのだが、足を上げることが苦手な高齢者なら、要考慮である。今、この瞬間に乗り降りができても、これから時間がたつにつれて、さらに足腰が弱くなっていくのが、加齢、老化というものだからだ。

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