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世界最高峰の専用マシンなのにナンバー付き! ラリー車の不思議と意外な成り立ち

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TEXT: 廣本 泉(HIROMOTO Izumi)  PHOTO: TOYOTA GAZOO Racing、FCA、廣本泉

クローズド以外では一般道が採用されている

 最高峰シリーズのWRCに参戦するWRカーといえども、ラリー競技の車両にはナンバープレートが必要だ。ラリー競技では主催者が占有したクローズドのタイムアタック区間とSS(スペシャルステージ)を除いて、SSとSSまでの移動区間は一般公道が使用されていることに起因する。

 そのため、競技車両といえどもラリーカーにはナンバープレートが必要であり、ドライバーもしくはコドライバーにはライセンスのほか、運転免許証が必要となるなど、まさに公道を使用した競技ならではのトピックスとなっているが、ラリーが公道を舞台に争われている理由は競技の成り立ちに由来する。スタートに並ぶアバルト124ラリーでラリー

 一説によるとラリー競技の起源は中世ヨーロッパまで遡り、各地に散らばっている騎士が王の号令で城へ集結した行動がルーツとされている。馬に騎乗した騎士たちが、領主の元へ誰が一番早く到着ができるかを競い合っていたことが、ラリー競技の起源とされているのだ。

 当然、舞台となったのは騎士はもちろん、民衆の誰もが使用していた生活道路で、時代に応じて馬から馬車、蒸気自動車、そしてガソリン自動車へと乗り物が変化するとともに、単なる騎士たちの競争がルール化され、競技へと進化していったのだろう。

 走行距離が長く、道案内役が必要だったことから後にコドライバーへと役割が進化するナビゲーターが必要となり、同じルートでタイム計測を行うために、CP(チェックポイント)が設けられ、後にTC(タイムコントロール)が誕生したに違いない。ドライバ/コ・ドライバーは一心同体で競技に参加する

 現在のWRCは日数にして3日から4日、SSの総距離にして300km~400km、リエゾンを加えた総走行距離でも1000km~1500kmとコンパクト化が進んでいることから“騎士たちの騎馬競争”といった雰囲気は微塵もないが、ヒストリックカー競技としてラリーの伝統を引き続く「ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」には“ヨーロッパ各地から領主の元へ大集合”を思わせる「コンサントラシオン」が今もなお引き継がれて開催されている。ラリー・モンテカルロ・ヒストリックに参加するエントラント

約1000kmを一昼夜かけて走破する

 コンサントラシオンはラリー・モンテカルロ・ヒストリックのプレステージイベントで、エントラントはフランス・ランスを筆頭にスペイン・バルセロナ、イギリス・グラスゴー、デンマーク・コペンハーゲン、ポーランド・ワルシャワなどのヨーロッパ各地を出発。ラリー・モンテカルロ・ヒストリックのスタート門をくぐり抜けた、ダットサン240Zでスタート

 2日から3日間をかけてチェックポイントを通過しながらモナコへ集結したうえで、翌日から本格的な競技がスタートするのだが、このコンサントラシオンこそ、ラリー競技のルーツを体感できるイベントだといえるだろう。峠道を駆け抜けるアルピーヌA310V6

 実際、筆者もある日本チームの密着で2017年のラリー・モンテカルロ・ヒストリックを取材した経験を持つが、コンサントラシオンとしてフランス・ランスからモナコまでの道のり、約1000kmを一昼夜かけて走破。ほぼ全てのルートが高速道路ではなく、一般道が採用されており、改めてラリー競技は公道で争われており、生活と身近な競技であることを体感することができた。ヨーロッパの街中を抜けて行くマツダ・RX7

 それゆえに競技といえども、ラリーカーにはナンバープレートが必要で、当然ながらエントラントには運転免許証が必要なのである。 

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