ホンダアクセスのクルマづくりはしっかりモデューロXに反映されている
その後は2017年にフリード モデューロX(2020年にマイナーチェンジモデルも登場)、2018年にはS660モデューロX(2020年にマイナーチェンジモデルが登場)、2021年にはさらに機能美を突きつめた特別仕様車のS660モデューロXバージョンZを発売。前後してしまうが、2019年にはコンパクトSUVの先代ヴェゼルにもモデューロXが設定された。
また、2008年に「MUGEN RR」の影に隠れながらも、東京オートサロン2008でお披露目され、ファンを喜ばせたコンセプトモデルの「スポーツモデューロタイプR(ベース車両はFD2型シビックタイプR)」の空力バランスを受け継いだ、4代目(現行型)フィットベースの「フィットe:HEVモデューロX」を2021年に発売。
このフィットe:HEVモデューロXは、専用フロントエアロバンパーに専用フロントグリル、リヤにも専用テールゲートスポイラーのほか専用リヤエアロバンパーも採用し空力性能を追求。ひと目でノーマルとは違うエクステリアは、「モデューロX」ならではの仕立てとなっていた。
もちろん専用セッティングのダンパーや、SUPER GT参戦マシンを想起させる軽量かつしなやかさを追求した16インチ専用ホイールも採用。コンパクトカーであってもホンダ車らしい味わいでありながら、ワンランク上のスタイリングと走行性能が欲しいというユーザーから大きな反響を呼んだ。
ドリキンも開発に携わり綿密な開発のもとモデューロXの上質さを実現
「モデューロX」の特徴は車種を問わずしっとりした乗り味と、多少荒れた路面でもノーマルよりも滑らかに走り、スポーティに走らせたときの安心感、そしてクルマと会話をしながら狙った走行ラインを外すことなく走れる走行性能を誇った。もちろん直進安定性もレベルの高いもので、軽自動車やコンパクトカー、ミニバンにもモデューロXが設定されていることからも分かるように、ガチガチのスポーツカーではなくても上質さと高性能さを見せる走りを追求。「コンパクトカーだから……」とか「ミニバンだから……」という、言い訳を許容させない、ホンダアクセスの走りへのこだわりが詰まったモデルであった。
すでにご存じの人も多いだろうが、この「モデューロX」の開発陣には、ホンダアクセスの腕利きエンジニアのほか、開発アドバイザーとして土屋圭市さんも携わっている。また、エアロパーツの開発には風洞実験を実施し、さらにテストコースでの走り込みといった綿密な作業を繰り返し行い、空力やサスペンション、タイヤ&ホイールまでイチから開発してきた賜だと言える。もちろんインテリアにも手抜かりはなく細部まで走りと使い勝手の追求がなされていた。
最近ではe:HEVモデルを続々と投入するホンダだが、電動化へのシフトはすでに始まっている。今後はEVベースのモデューロXが登場することであろう。パワーユニットがエンジンからモーターへと代わり、どのような味付けのクルマに仕上げてくるのか、期待ばかりが膨らむ。