「硬い」と言われた足も欧州車なら当たり前のレベルだった
もちろん走りも、くだけた表現をすると「まんま欧州車」だった。筆者の場合、強く印象に残っているのは、とある高速道路のとあるインターチェンジで、本線からオフランプのループに降りて行った際の安定しきった姿勢、ライントレース性、4輪の接地感がなんて素晴らしいのだろう! と思った記憶がある。
当時の筆者は自分でVWゴルフIIのCi・2ドア・5速MTというスノッブなクルマに、当時のGTIと同じ純正アルミホイールに60タイヤを奢って乗っていた。日々、天候を問わない高速走行時のスタビリティの高さを肌で実感していたのだが、P10プリメーラに試乗し、ふたたびくだけていうと「VWと同じじゃん!」と実感したのだった。初期のP10は、足まわりのセッティングがやや硬めとも言われたが、欧州車オーナーから言わせれば、それが欧州車の標準で、だからこその高速スタビリティとワインディングの安定感なのだ……と思ったものだ。
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当時の日産は「901活動」なる運動性能を磨き上げる活動に取り組んでいたり、実際にVWサンタナのノックダウン生産も経験済みだった。そうした背景から生まれた初代P10プリメーラは、だからパッケージも走りも本場の欧州車にヒケをとらない実力を身につけたクルマだったのである。なおP10プリメーラではフロントにマルチリンク式、リヤにパラレルリンク式のサスペンションを採用し、2段絞りバルブのショックアブソーバーなどを使いながら、サラッと前述のような欧州風味の走りの味を出していたのだった。