市販品をベースにキドニーグリルを自作
そしてもう一台、市販品をベースにキドニーグリルを作り上げた車両を紹介しよう。こちらのベース車両は日産アベニールだ。
市販のフロントグリルをベースに、丹念にヤスリ掛けをし、上下のフレームをスリムに。さらにフラットな雰囲気を出すために、できる限り厚みをなくす加工が施されている。また純正グリルのバーを、市販品グリルの真ん中へ縦にセット。パテ埋めして、キドニーグリルっぽさを演出した。
クルマも当時のBMWのアイデンティティであった丸目4灯+キドニーグリルのセオリーを守っていることがよく分かる。
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90年代は国産のステーションワゴンが全盛だった時代。その発端は欧州におけるステーションワゴンの人気に由来している。それゆえ、欧州ステーションワゴンをベースにチューニングを手掛けるサプライヤーも多かったのは間違いない。このような事情からも、さまざまなサンプル例が輸入車情報誌や海外の雑誌などを通して紹介された。
国産車でも当時はまだまだ数少なかったミニバンより、ステーションワゴンの方がラインアップが多かった。つまり、車高やボディタイプから見ても親和性のある欧州ステーションワゴンからドレスアップをトレースしやすい環境にあったという時代背景がある。
90年代後半に一斉を風靡したBMWやVWのルック仕様だが、2000年代前半には、こうしたヨーロピアンスタイルは数少なくなってしまった。しかし、令和のいま見返してみると、カスタムにかける当時のオーナーの熱量が半端なかったことがよく伝わってくる。