クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • カーライフ
  • なぜAT車のシフトセレクターは初見殺しが多いのか?「誤操作の防止」から「個性の演出」へと変遷した歴史を振り返ります
カーライフ
share:

なぜAT車のシフトセレクターは初見殺しが多いのか?「誤操作の防止」から「個性の演出」へと変遷した歴史を振り返ります

投稿日:

TEXT: 塩見 誠(SHIOMI Makoto)  PHOTO: BMW AG/Daimler AG/Jaguar Land Rover/トヨタ自動車/日産自動車/本田技研工業/AMW編集部

運転をラクにしてくれる反面、集中力を欠きやすい「AT」

 現在ではほぼすべての乗用車に採用されている「オートマチックトランスミッション(AT)」。セレクターを操作してシフトポジションを決めさえすれば、あとはアクセルペダルを踏むだけで走行できるというのは利便性が高い。シフトチェンジをするためにはアクセルペダルを戻してクラッチペダルを踏み、シフトレバーを操作してクラッチをつなぎ、再びアクセルペダルを踏み込むという作業が必要な「マニュアルトランスミッション(MT)」と比べれば、明らかに速度を高めていく作業は簡単で、そのぶんステアリング操作や周囲の確認などに注意を払いやすい。

 とはいえ、その簡便さから集中力を欠き、ペダル操作を間違えてしまうという事例が多いのも事実。本題に入る前にあらためて注意喚起をしておきたい。クルマを運転するということは、運転をする人間の不注意によって他人を巻きこんだ事故を起こす可能性があるものだ。なんとなく走るのではなく、つねに周囲に注意を払い、とくに動き出す時には、まずは思っている方向に動き出すかどうかを確認して、それからアクセルペダルを踏むようにしてもらいたい。

クルマごとに千差万別なATセレクター

 さて、今回の本題は、ATの操作のなかで最近悩みやすい、セレクターについてだ。ATのセレクターについてまず説明しておくと、ATは駐車時に使う「P(パーキング)」ポジションと、ギヤがフリーになり、ブレーキが使われていない時にはクルマを押して動かすことがでいる「N(ニュートラル)」ポジション、そしてアクセルペダルを踏むことで前進する「D(ドライブ)」ポジション、後退することができる「R(リバース)」ポジションがある。

 さらに、ドライバーがギヤを物理的や疑似的に操作できるようになっているものもあって、それを使えばエンジンブレーキを利用しやすい。このギヤ選択は、セレクターレバーで行うものもあれば、ステアリングに装備されているパドルを利用するものもある。さらに、強力なエンジンブレーキを使うことができる「B(ブレーキ)」ポジションを備えたATも存在しているし、そもそもでいえば、現代のクルマはATのセレクターの種類が多すぎて、初めて乗る時にはきちんと使い方を確認しておかないと、走り出すことさえ難しかったりする。

誤操作を防ぐため生まれたゲート式セレクター

 ではなぜ、セレクターのバリエーションが増えてしまったのだろうか。昔のATセレクターは、フロアからレバーが伸びていて、直線的に前側から「PRND2」と後ろ側に動かすものが主流だった。こういったセレクターには、走行中の誤操作を防ぐため、ノブにロック解除のボタンがあり、それを握らないとRには入らないようになっていたりした。各ポジションの確認は、表示部の文字色が変わることで表していたものだ。

 その誤操作を防ぐために考えられたのが、メルセデス・ベンツが採用していたゲート式セレクターである。これは各ポジション間に段差をつけた、階段のようなゲートを採用したもの。非常に使いやすいものだったが、これに関してはメルセデス・ベンツが特許を公開しなかったので、権利切れになるまで他メーカーは採用できなかった。

 また、ジャガーは独創的な「Jゲート」というセレクターを採用していた。これはPRNDまでは他社のセレクターと同じように直線的だが、Dから左へ動かすとシフトチェンジできるようになり、Uターンして今度は上に、5432とギヤポジションを任意で選択できるようになっていた。積極的なギヤ選択をしやすいというのが画期的なこのJゲートだったが、のちにDから横にセレクターレバーをずらし、そこで前後に動かすことでシフトアップ、シフトダウンがでいるマニュアルモードセレクターが登場したことで、一般的にはならないままとなってしまった。

12

 

 

 

 

 

 

ranking

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

 

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

ranking

AMW SPECIAL CONTENTS