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日産の危機は「フェアレディZ」が救う!? バブル崩壊後のブランド復活のきっかけとなった「Z33」の功績をたどります

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: 日産自動車/AUTO MESSE WEB

6年間の生産期間で計10度のテコ入れを施し、スポーツカーとして鮮度を維持

 2002年、日産は急速に業績を回復しつつありましたが、まだ経営再建途中であったため、開発費は潤沢ではありませんでした。ただ、当時日産には他にスポーツカーが存在せず、発表会で開発責任者の湯川伸次郎氏が「Zは毎年進化する」と宣言したこともあって、モデル末期まで手が掛けられた1台となりました。

 また、マイナーチェンジや一部改良だけでなく、モータースポーツの世界でもGT-Rに代わり主役の座に着いたため、レース参戦用のホモロゲモデルを追加。さらに歴代モデルで人気のあったボディカラーを定期的に用意するなど、スポーツカーとしての鮮度を維持するために6年間の生産期間(クーペは2002年~2008年まで、コンバーチブルは2003年~2009年まで生産)で計10度、テコ入れしています。

 その中身は2003年10月に電動オープンモデルであるロードスターの追加とブレーキブースターの8+9インチのタンデム化に始まり、2004年にはシフトダウン時にエンジン回転数を最適化する「シンクロレブコントロール」機能をATに採用するなど、バージョンアップは多岐に及びます。ただ、パフォーマンス面に限定すれば2005年9月のマイナーチェンジと2007年1月の一部改良がハイライトといえます。

Zロードスター

モデル後期のVQ35HRエンジン搭載でスポーツカーとしての完成度を高めた

 2005年は従来のトルク重視から、スポーツカーらしく高回転まで気持ちよく吹き上がるフィールを目指した改良です。具体的には排気側にも可変バルブタイミング機構を加え、カムプロフィールを見直し、高回転の追従性を高めるバルブスプリングなどを採用。インテークマニホールドはポート径/開口部を拡大し、吸入空気量をアップすることで、294ps/35.7kg-mのパフォーマンスを得ています(MTのみ)。

 また、ダンパーには「フーガ」に採用された乗り心地と操安性を両立するデュアルフローパスアブソーバーを投入し、パワステはインフォメーション性に優れた車速感応式となっています。また、内装も素材が見直され、上級スポーツモデルに見合う質感を手に入れているのもポイントです。

 2007年はV36型スカイラインに採用された改良型のVQ35HRエンジンの搭載がトピック。HRはエンジンブロックがハイデッキ化され、ドライブトレイン系のフリクションを低減させました。また、限定車を除く歴代Zで初めて300psオーバー(313㎰/36.5kg-m)を達成。7500rpmまで許容する上質なフィールとスポーツユニットらしいパワー感は、初期モデルとは別物といえるでしょう。

 なお、エンジン高の延長にともない新たに採用された、フード中央が膨らんだボンネットがそれ以前のモデルとの識別点となっています。中古車で選ぶなら、完成度を高めた2007年以降のモデルを選ぶのが満足度は高いといえるでしょう。

Z33型はファンの心を捉え、長い歴史の中でターニングポイントとなったモデル

 Z33型フェアレディZは経営難のなか、しっかりとしたマーケティングと明確なコンセプト作りを行った上で、ファンから求められるスポーツカーとしての骨格を確立。そのうえでイヤーモデル制を導入し、鍛え上げる手法で魅力あるモデルへと昇華させ、Zブランドを復活させたのです。この成功なくしてZ34、そしてRZ34の誕生はなかったはず。そういう意味でZ33は長い歴史の中でターニングポイントとなったモデルといえるでしょう。なお、今回紹介できなかった魅力的な限定車やコンプリートカーは、また別の機会に!

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  • Zロードスター
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