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「フェラーリ チャレンジ」車両が1000万円ちょっとで手に入る! 跳ね馬初となるワンメイクレース用「348チャレンジ」とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Courtesy of RM Sotheby's

出品にあたって完璧な整備済み

 フェラーリ348チャレンジ仕様の車両は、のちに純正キットを組んだだけの個体も散見されるが、今回RMサザビーズ「LONDON」オークションに出品された348tbチャレンジは、当時のフェラーリ348チャレンジ西ヨーロッパ選手権で活躍したヒストリーもある1台という。

 この#93646は、1993年4月3日にヌヴェール・マニクール・サーキットにて、オーナーであるハインケレ自身のドライブによってレースデビュー。10位でフィニッシュを果たす。シリーズ戦はその年の11月まで続き、ハインケレは12ポイントの獲得で参戦初シーズンを締めくくった。翌1994年シーズンになると、競争力を上げたマシンとハインケレは57ポイントを獲得し、シーズンを総合6位で終了した。

 そして前シーズンまでの体験を踏まえた1995年シーズンのハインケレは、一気にジャンプアップ。初戦ポール・リカール・サーキットで2位になったのを皮切りに、348チャレンジ選手権をリードしてゆく。快進撃はシーズン後半も続き、ハインケレ氏は2位と5位に終わった2レースを除くすべてのレースで勝利を獲得。最終的には230ポイントでシーズンを締めくくり、フェラーリ348チャレンジ西ヨーロッパ地区選手権で年間タイトルをつかみとったのだ。

 現在、この348チャレンジは新車時以来の純正「ジャッロ(イエロー)」のオリジナルペイントを維持しており、公式オークションカタログ作成時の走行距離計は7万3897kmを示していたとされる。

 今回のオークション出品にあたっては、1993年から2016年までの請求書、それぞれの時代の印象的な写真、レース結果を含むドキュメントファイルが添付されていた。

 くわえて出品直前の2022年9月29日には大規模な整備が施され、この時代のフェラーリでは重要なタイミングベルトをはじめ、ブレーキフルードやエンジンオイルなどの油脂類も交換。その費用は6494ポンドに上った。さらに新しいMoT証明書(英国内車検証)も、この時に交付されているとのことである。

高い? それとも安い? 元チャンピオンカーは約1140万円

 元チャンピオンマシンという経歴を掲げたこの348チャレンジ仕様車に、RMサザビーズ欧州本社は、6万~8万ポンドのエスティメート(推定落札価格)を設定。最低落札価格なしということで安価に落札されてしまう可能性もあったものの、結局6万9000ポンド、日本円に換算すれば約1140万円でハンマーが落とされることになった。

 この落札価格は、同時代のスタンダード348tbの相場よりは明らかに高めでありながらも、348チャレンジとして正規ルートで改造されたほかの車両と比べても、少なくとも近年の取引き事例を見る限りでは、特別に高価というわけでもないようだ。

 レースヒストリーがあるとはいえ、フェラーリ・チャレンジ選手権は国際的なメジャーレースではなく、あくまでもジェントルメンドライバー向きのアマチュアレース。したがってチャンピオンカーであることが、そのまま現在の価格に大きく反映することはないのかもしれない。

 しかし、将来348シリーズが正統なクラシックとして評価を受ける時代を迎えたころには、この個体の価値がもっと高まる可能性も否めないのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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