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どうしてクラシック・チンクエチェントと「一緒に暮らすようになったのか」まずはその理由から語ることにしよう【週刊チンクエチェントVol.1】

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TEXT: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)  PHOTO: 嶋田智之

冗談から始まったフィアット500との生活

サイモンくんと僕は博物館を通じて知り合いとっくに親しいし、サイモンくんの本業は某ラグジュアリーブランドの広報車両担当だから西山くんとも顔見知り。3人ともクルマ好きなわけだから、そうなればクルマ談義が始まっちゃうのは自然の流れだろう。もちろんこの日の話題はフィアット500のEVと、サイモンくんが博物館から預かってボランティアのようにして管理してるブリックレッドのエンジン版500が中心だ。

やっぱり500ってワケわからない楽しさがあるよねー、なんてところから話が違う方向に転がっていったのは、今どきの自動車メディアを取り囲む状況はなかなかつらい、でも皆がんばってるよね、なんてところからだったか。紙の雑誌は前時代的どんぶり勘定がお目こぼしされてた以前の風潮から完全管理が強いられる方向にシフトして、おもしろいことがやりにくくなってる傾向にある。他業種から来たWeb媒体は経営陣の考え方としてそもそもおもしろさの追求に重きを置いてないところが多いから、企画モノや読み物はやりにくい。

僕「そう考えると、俺はホントにいい時代に編集者をやらせてもらってたんだなぁ……」

西山くん「僕はわりと自由にできてる方だと思うけど、それでもいろいろ厳しいですからね。やっぱりWebはどこも読者さんに楽しんでもらう記事より1クリック重視っていうのが基本ですから」

サイモンくん「嶋田さんの頃は好き勝手でしたよね。チンクエチェントとシトロエン2CVでどっちが遅いかレースみたいなことしたり、でかい男フル乗車で大阪まで走っていく自虐企画やったり」

僕「あのときは東名高速でどうがんばっても70km/hぐらいしか出なかった(笑)。そういう遅さにこのかわいさだよ。チンクエチェントってすっごくいいキャラ持ってる最高の題材なんだってば。みんな何となくであっても好きでしょ? いや、俺もだけどさ」

サイモンくん「じゃあ、このブリックレッド、嶋田さんが管理してくださいよ。僕、サラリーマンなんですから」

僕「チャラリーマンじゃん。それもだいぶスチャラカな」

サイモンくん「それに知人のクルマを引き継ぐ形で譲り受けたトライアンフ、このクルマがあるおかげで、ぜんぜん乗れてないんですよぉ。博物館にお願いしておくんで、嶋田さん管理お願いしますよぉ」

僕「いやいや、それは博物館がサイモンくんを見込んで管理を任せてるんだから、俺がでしゃばるのは筋が違うでしょ。まぁ俺の手元にチンクエチェントがあったら、毎日フツーにアシに使ったり、どんなに遠くに行くのでもそれに乗っていったりして、『週刊チンクエチェント』とか、企画しちゃうけどね。いつもの時間感覚で試乗会に向かったら遅すぎて15分遅刻しました、とか。真夏にノンストップで走ってたら熱中症になりかけたから車内でドライアイスを炊きながら走ってみました、とか。0-50mダッシュでスーパーカブと戦ってみました、とか。50年前の18psでおふくろの住む神戸に向かったら、普通のクルマなら半日で行けるのに途中で1泊するはめになりました、とか」

サイモンくん「そういうお馬鹿な記事って最近あんまり見ないから、やってくださいよ。絶対におもしろいと思うし」

西山くん「それ、ホントにやるなら、僕のところでやりません?」

僕「ホントにやることになんてならないから(笑)」

まさかそれがホントに向かっていくことになるとは、このときの僕は微塵も思っていなかった。冗談からコマになっちゃうのだから、運命ってヤツはおそろしい……。

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  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー雑誌の『ROSSO』やフェラーリ専門誌『Scuderia』の総編集長を歴任した後に独立。クルマとヒトを柱に据え、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントやラジオ番組などではトークのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、ときに解りやすく語る。走らせたことのある車種の多さでは自動車メディア業界でも屈指の存在であり、また欧州を中心とした海外取材の経験も豊富。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
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