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【ホンダF1の技術を搭載】本田宗一郎肝いりのセダン&クーペだった「1300」とは【国産名車グラフィティ】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 木村博道/増田貴広

ハイパワーエンジンモデルと感じさせないセダンフォルム

ホンダがファミリーカー市場に参入するために開発し、送り出した超高性能4ドアセダンが「ホンダ1300」だ。発売時のキャッチフレーズは「100馬力のスポーツセダン」である。メカニズムは強烈だが、デザインはオーソドックス。「ブルーバード」(P510型)や同時期にデビューした「コルトギャラン」と同じように直線基調の3ボックスデザインを採用している。

1300セダン

ライバルの多くは三角窓を取り去り、ウェッジシェイプを強調したが、ホンダ1300は奇をてらわない4ドアセダンスタイルだ。ハイパワー至上主義を貫いていたホンダ車とは思えないほど控えめだ。だが、外観で卓越したパフォーマンスがわかるように差別化している。撮影車はイメージリーダーであり、今も伝説のセダンとして語り継がれているツインキャブ仕様の99シリーズ。まさに羊の皮を被った狼と言える高性能セダンだった。

エクステリアでそれと分かるのはフロントマスクである。中央をボディと同色にした2分割グリルをメッシュとし、その両側にメッキリングで囲んだ丸型ヘッドライトを配する。シングルキャブレターの77シリーズは角型ライトに横桟グリル。それに比べると、99シリーズははるかに精悍な顔付き。フェンダーミラーも砲弾型を採用し、超高速走行に対応するH規格のタイヤを標準装備した。

リアのクオーターピラーにはフレッシュエアを引き込むベンチレーションルーバーが装備され、なだらかに下がったところに横長のリアコンビネーションランプを組み込んでいる。ブロックを2個合わせたデザインで、内側にはバックランプを内蔵する。また、縦スリットの入ったリアガーニッシュを配し、ワイド感をアピールする。真ん中に書き添えられた白抜き文字の「HONDA」のロゴも印象的だ。

ホンダ1300は誰もが認める高性能セダンだったが販売は低迷。有り余るパワーにサスペンションやタイヤが追いつかなかったからだ。また、正統な3ボックススタイルの普通のセダンゆえ、ユーザーの購買欲をかき立てることは少なかった。クーペの投入でホンダ1300の販売台数は月に6000台に達したが、その多くはクーペ。そこで1970年秋にセダンのフェイスリフトを敢行する。

ヘッドライトとグリルを分離し、バンパーもオーバーライダー付きの見栄えのいいものに変更。また、リアコンビネーションランプも上下2段の新しいデザインへ。てこ入れはしたが99シリーズは消滅して、「ホンダ77」に改名した。それでも販売は伸び悩んだため1972年秋にホンダ1300に見切りを付け、水冷の1433ccエンジンを積んだ145シリーズを送り出した。

方向性がまったく異なるダッシュボードデザイン

クーペが登場したのは、セダンの発売から9カ月後の1970年2月である。インテリアは同じテイストでデザインされているが、2台を並べてみるとダッシュボードは似て非なるものだ。ホンダZとホンダN360もそうだったように、軽自動車であってもスペシャルティカーは、華やかさを感じさせるインテリアに仕立てられている。ホンダ1300でも比較してみると、デザイナーのこだわりを感じさせるのはクーペだ。

後発の1300クーペのインテリアから見ていこう。ダッシュボードはドライバーの前のパネルを大きくえぐり、センターにある補助メーターなどを並べたパネルをドライバー側に向けた立体的なデザインが特徴だ。ホンダでは飛行機の計器盤をイメージした「フライトコクピット」と名付けている。すぐ後に登場する「ギャランGTO」のダッシュボードと似ているのは偶然だろうか?

1300クーペは深いコーンの中に3つの丸いメーターを埋め込み、走行中に他のものが映り込まないよう防眩レンズを被せている。タコメーターとスピードメーターはひときわ大きく、その間に燃料計を配置。センタークラスターは電流計と油圧計をセットし、その下にヒーターコントロールスイッチがある。

3本スポークのステアリングのデザインは、スポーク部の形やホーンマークなどセダンとクーペで微妙に異なっている。

セダンもクーペ同様、ブラックを基調としたインテリアを採用している。だが、クーペのダッシュボードと比べると平面的なデザインだ。横の広がり感を強調し、グレードによってはウッド調パネルもある。

3つの丸型メーターは同じサイズ。左は燃料計、真ん中は220km/hまで目盛りを刻むスピードメーターだ。右端がタコメーターで、99シリーズは7500rpmからレッドゾーンとなっている。

ダッシュボード中央には、小径の電流計と水温計を装備。その下にコンソールをセットし、ラジオが装着されている。

小物の収納スペースが多いのも特徴だ。運転席の右下には時代に先駆けて小銭を置くトレイを設定。グローブボックスの下にも収納スペースを設けている。

ビニールレザーのフロントシートはヘッドレスト付きで、サイドサポートにも気を遣っている形状だ。

* * *

ホンダ1300は、本田宗一郎肝いりのプロジェクトであり、ホンダのリーダーモデルだからクラスを超えたクオリティを目指し、インテリアにも数多くのアイデアが盛り込まれている。だが、空冷エンジンのためにヒーターの効きが悪いなど、弱点も少なくなかった。このような苦い経験を糧に、ホンダは大ヒットしたシビックを生み出すのである。

1300 クーペ9(H1300)

●年式:1970
●全長×全幅×全高:4140mm×1495mm×1320mm
●ホイールベース:2250mm
●トレッド(F/R):1245mm/1195mm
●車両重量:900kg
●エンジン:H1300E型空冷直4SOHC+4キャブ
●総排気量:1298cc
●最高出力:110ps/7300rpm
●最大トルク:11.5kg-m(113Nm)/5000rpm
●駆動方式:FF
●変速機:4速MT
●サスペンション(F/R):ストラット/クロスビーム
●ブレーキ(F/R):ディスク/L&Tドラム
●タイヤ:6.20-H-13-4PR
●発売当時価格:72万8000円〜(東京都店頭渡し)

ホンダ1300 99S(H1300)

●年式:1969
●全長×全幅×全高:3885mm×1465mm×1345mm
●ホイールベース:2250mm
●トレッド(F/R):1245mm/1220mm
●車両重量:895kg
●エンジン:H1300E型空冷直4SOHC+4キャブ
●総排気量:1298cc
●最高出力:115ps/7500rpm
●最大トルク:12.05kg-m(118Nm)/5500rpm
●変速機:4速MT
●駆動方式:FF
●サスペンション(F/R):ストラット/クロスビーム
●ブレーキ(F/R):ディスク/L&Tドラム
●タイヤ:6.20-H-13-4PR
●発売当時価格:68万8000円(東京都店頭渡し)

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