購入してから71kmしか動いていない
チェンテナリオのデザインで最もインパクトがあるのは、やはり前後のセクションだろうか。ボンネットには巨大なエアアウトレットが存在し、フロントのバンパースポイラーから導入されたエアを排出するプロセスにおいてもダウンフォースの発生を担う。
ボディサイドを流れるラインもまた特徴的だ。ヘキサゴン=六角形は当時からランボルギーニが好んで使用してきたモチーフだが、それはサイドウインドウやエンジンフード、そして前後のフェンダーとサイドステップによっても構成される。リアの大型ディフューザーや可変式のリアウイングも見どころだ。
モノコックやボディのほとんどでカーボンファイバーを使用するチェンテナリオは、その乾燥重量がわずかに1520kg。その捻じり剛性は3万5000Nm/度に達するというから、いかに軽量で高剛性なモデルであるのかが分かる。
ミッドに搭載されるエンジンは770psの最高出力を発揮する6.5LのV型12気筒自然吸気で、これに7速のISR(シングルクラッチのセミAT)を組み合わせる。駆動方式はもちろん4WD。0‐300km/h加速を23.5秒で走り抜き、最高速では350km/h以上を可能にするというチェンテナリオ。それを手に入れるには、もはや世界的にメジャーなオークション・シーンに目を光らせているほかはないというのが現実だ。
今回の出品車は20台が生産されたロードスターのうちの1台。走行距離はわずか71kmというから出品者による使用はほとんどなかったといえる。主催者のRMサザビーズは300万〜400万ユーロ(邦貨換算約4億8000万円~6億4000万円)のエスティメート(予想落札価格)を掲げたが、残念ながら落札者は現れなかった。
現在は320万ユーロ(同5億1200万円)で応談という状態になっている。ちなみに新車時にチェンテナリオに設定されていた価格は175万ユーロ。その価値は大きく上がった計算になる。