出品車にはサンルーフ付き
出品車の仕様をさらに確認してみる。3.6L仕様の964型911ターボがわずか2年のみの生産であったことは前でも触れたが、この短期間にポルシェの工場からデリバリーされた台数は1500台にも満たなかった。この出品車は、その中でもわずか159台しか生産されていない右ハンドル車で、ニュージーランド人の最初のオーナーは、オーダー時にパワーサンルーフ、スモークトップウインドスクリーン、パワーアジャスタブルシート用のより高級なレザー素材、18インチのポリッシュホイールリムなどのオプションを選択していた。
さらにその後エンジンの最高出力を385psにまで高める「X88」アップグレードが施され、カムシャフトやターボチャージャーが改良された。
その後ニュージーランドから2016年にイギリスへと渡ったこの個体は、2018年に今回のオークションでの出品者の手に渡る。2019年には新しいアンチロールバーとスプリングがポルシェのスペシャリスト、パラゴンによって装備されスピードメーターも交換されたが、オドメーターはそれまでの距離と合わせたと考えられている。現在示されている数字は8万6932kmだ。このクルマにはヒストリーファイルのほか、オーナーズマニュアル、ジャッキ、スペースセーバースペアホイール、ツールロールも付属。2024年の3月にはイギリスのMoT(車検)にも合格している。
RMサザビーズは、この1994年式のポルシェ911ターボ3.6に、25万~30万ポンド(約5000万円~6000万円)のエスティメート(落札予想価格)を掲げたが、残念ながら今回は落札に至ることはなかった。その希少価値、そして車両自体のコンディションを考えれば、落札を狙っていたポルシェ・ファンはきっと多かったに違いないはずなのだが……。


















































































