わたしどもはコーティング屋ではなく、磨き屋です!
安楽短やタイパ(タイムパフォーマンス)など、あらゆる業界で効率が重視される昨今だが、そんな時代の流れに逆行し、時間やコストよりも「本物」を追求する職人たちも一定数存在。「お金ではなく納得できるもの提供してほしい」と願う、その筋で一家言ある人たちと向き合っている「磨き」のプロショップを紹介しよう。
オーナーの満足を何よりも重視して、完全会員制
長野県と京都府に店舗を構える「車磨き研究所」はクルマの美しさにこだわるマニアの期待に応え続けるプロショップだ。ガラスコーティングやプロテクションフィルムの施工なども行うが、メインに据えているのは店舗名が示す通り‟ボディの磨き“。
以前は従業員を雇い、ディーラーなどの下請けもやってというが、現在は代表の百瀬浩之さん1人が依頼に合わせて両店を行き来して作業をするスタイルに変更。オーナーの満足度を何よりも重視し、飽くなき探求心と妥協なき姿勢で、日々高いクオリティを追求し続けている。
店舗は完全会員制で、新規の顧客は電話やメールで問い合わせたあとに面談あり。話し合って双方納得できた場合のみ施工を受け付けるシステムだ。強気とさえ感じるが、百瀬さんの技術に惚れ込んだリピーターからの依頼が後を絶たない。
磨きの技術習得は一朝一夕では身につかない
「1970年代以降にポリマー加工が普及する以前にコーティング屋という言葉はなく、クルマのボディを仕上げるのはすべて磨き屋の仕事だったのです。ポリマー、フッ素、ガラスとコーティングの普及にともない、磨き屋がコーティング屋へと業態変更するケースも増え、一般的には同じジャンルとみなされるようになりました。でも、本来は別物なのです」と百瀬さんは説明する。
では、なぜ、磨き屋が減り、コーティング屋が増えたのか⁉ その理由のひとつが、技術習得までの期間の違いが挙げられる。
「磨き屋の技術は一朝一夕で身に付くものではありません。手法を誤れば塗装を飛ばすリスクがあり、習得にはかなりの時間が必要です。さらに作業に手間と時間がかかるので、費用対効果の面でも敬遠されがちです。また、最近は正しい磨きの技術を教えられる人材が減っているのも課題です。一方で、コーティングは乱暴に言えば、塗って拭くだけという手軽さがあり、短期間で技術の習得が可能です。ある程度マニュアルに沿って教えればアルバイトでも戦力になるため、導入しやすいというメリットもあります」
ただし、コーティングはボディを覆う(保護する)ためものであり、真に美しい仕上がりを求めるなら、磨き(研ぐと言った方が正しいか)が欠かせない。汚れ、傷を取り、表面を可能な限り平滑に整える(塗装膜厚によって調整)下地処理がマスト。丁寧に下地作りを行わないボディには、コーティング剤がしっかりと密着せず、結果仕上がりに大きく差が出る。同じ溶剤、ポリッシャーを使っても輝き(光沢)に差が生まれるのはそのためだ。
並べたら一目瞭然の仕上がりクオリティ
また、下地処理が軽視される背景には、コーティングに対する理解不足がある。「どこで作業をしても同じ結果になる」と考えるユーザーが多いため、専門店でも高額な施工料が取りにくくなっている。その結果、店舗は利益を得るために回転率を上げるしかない=作業を簡略化せざるを得ず、手間のかかる磨きの工程が真っ先に省かれることが多い。しかし、手間を惜しめば、結果に跳ね返るのは当然のことだが、提供されたものに対して顧客が満足していれば何も問題ないのもまた真実。「ガソリンスタンドと専門店のどちらがいいのか」という議論も、結局はユーザーの価値観次第だ。
「それでも、他店で施工車両と当社仕上げのクルマが並べば、その違いは一目瞭然だと断言できます。当社のお客さまはこだわりの強い方ばかり。その期待に応えるために積み重ねてきた技術やノウハウには絶対の自信があります」と百瀬さんの言葉には確かな手応えが感じられる。
ボディに最高の艶感をもたらすには、使用するポリッシャー、バフ、コンパウンド、コーティング材などの選定も重要だ。車磨き研究所では、車両ごとの塗装の質、色、膜厚、コンディションなどを見極め、40種類の水性コンパウンド、15種類のバフ、27種類のコーティング材のなかから最適なものをセレクト。ポリッシャーも何度も繰り返し試して吟味したもので、工程に応じて複数台を使い分け、塗り込み用のスポンジや拭き上げクロスもコーティング剤との相性を考慮して数多くの種類のなかから厳選。こうしたこだわりの積み重ねが、唯一無二の輝きを生む。もちろん、こうした複数の材料、機材の特性を理解し、使い分ける百瀬氏の卓越した技術あってこその仕上がりである。
他店で断られたこだわりの人も、一度ご相談を
コースは、新車を対象とした「01 COURSE」からショーカーレベルの「05 COURSE」まで幅広く用意。さらに、オーナーの要望や求めるレベル、クルマのサイズなどによってさらに細分化されており、事前の話し合いをもとに決定する。最上級のプランでは、定期的なメンテナンスなしで、約10年間状態を維持した実績もある。
「クルマへの愛着は人それぞれですが、一生添い遂げたいと考える愛好家の方々は、何事に対しても妥協したくないという方は結構多いですね。ゆえに薄利多売なコーティング屋では、こうした方に合わせたものを提供することが難しいこともあるわけです。他店で施工を断られた方、納得できなかったという方は、ぜひ一度ご相談ください。悩みを解決するお手伝いをいたします」
時間を掛けて丁寧に磨いた塗装面に、最適なコーティングを施す──それが、車磨き研究所の強み。愛車に最高品質の輝きと艶感を求めるオーナーの期待に、磨きの専門店だからできる匠の技で応えてくれる。
車磨き研究所
妥協なき「磨き」の匠の技で最高品質の輝きと艶感を
所在地:京都府京都市南区上鳥羽南岩ノ本町66(京都店)/長野県上伊那郡辰野町上島2546(長野店)
営業時間:9:00〜16:00(6〜9月は8:00〜17:00)
TEL:075-634-9915(京都店)/0266-44-2791(長野店)
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