ヨーロッパの高速道路の速度事情とは
ドイツ在住で、モータースポーツを中心に取材している池ノ内みどりさん。ドイツのアウトバーンでは一部に速度制限解除区間があることは有名ですが、130km/h制限にすべきという話し合いが続けられています。その一方で、制限速度の上限引き上げの可能性が浮上している隣国が存在します。ヨーロッパの高速道路の速度事情についてレポートします。
飛ばすドライバーが減った一番の要因はガソリン価格の高騰?
まだまだ寒い日が続くドイツです。雪が降ったと思ったら、翌日には突然10℃前後まで気温が上がるなど、寒暖差が大きいのです。ゲホゲホとマスクなしで咳込む方を見かけるとちょっと複雑な気分です。せめてマスクをしていただきたいな、と思ってしまいますが、自分でマスクを着けて予防するしかありませんね。
さて、ドイツのアウトバーンのすべてではありませんが、「速度制限解除」すなわち速度無制限の区間があることは有名です。しかし、毎年のように議会や環境団体で130km/h制限にすべきという話し合いが続けられていますが、いまのところ可決されずホッとしているところです。130km/hは、ドイツのアウトバーンの推奨速度です。
実際に速度無制限の区間であっても、都市部近郊や複数線が合流するジャンクション付近では平日の朝7時頃から19時頃までは混雑しているので、とてもじゃないですが好きな速度で走ることは難しい状態です。しかし、早朝や深夜帯、日曜日には随分と空いていますし、トラックも少ないのでとても気持ちよく踏み込めるのが魅力です。ただ、最近はいくら空いていてもそんなに飛ばすドライバーは減ったように感じます。
その一番の要因はガソリン価格の高騰ではないでしょうか。
日本でもその価格高騰で日々の生活が大打撃を受けてしまっていますが、こちらドイツでは2021年1月、そして2022年1月にと、どんどん値上がりし、ごく普通のガソリンスタンドでのレギュラー価格が1Lにつき2ユーロ(約320円)を超えるという驚異の価格となってしまいました。
2024年秋から少しだけ値下がりはしたものの、現在も1Lが1.80ユーロ前後(約290円)と非常に高額です。アウトバーンのサービスエリアで給油をすると、2.4ユーロ(約390円)前後となっていますので、私は絶対にアウトバーンでは給油せずいったん下道に降りて給油することにしています。
ドイツの隣国では制限速度の上限引き上げの可能性が
ドイツでは速度制限を設けるべきと話し合いが続けられている中で、隣国のチェコとオランダとイタリアでは制限速度の上限を広げることになる可能性があるようです。チェコの制限速度は130km/hでしたが、2024年1月末からテスト的に150km/hに引き上げられているそうです。
交通状況や天候などによってさまざまな項目で集計をされており、2025年3月〜4月にそれらのテスト結果を元に、正式に150km/hに引き上げるのか、130km/hを継続するのかを判断するようです。チェコでは1997年に120km/hから130km/hへ引き上げており、それ以来の速度制限の緩和になるかもしれません。
オランダでは朝6時から夜19時までは100km/h規制が敷かれ、それ以外の時間は区間によって120km/hや130km/hで走行可能と、時間で速度制限が変化します。オランダ全域ではないものの、十分な大気汚染検査や騒音検査を重ねたうえで、2025年6月から一部の区間で130km/hから150km/hへ速度緩和となる予定だそうです。
オランダでは窒素の排出を軽減するのを目的に、2020年から130km/hから100km/hへと速度を大幅に減速へ改正されていたのですが、また戻す形になります。アウトバーンを日中に走る際には、ほとんどが90km/hや100km/h規制になっているので、日本の高速道路を走っている気分です。