1948年から変わらない老舗のBBQは絶品
さて、音楽の次は食事だ。日本でBBQといえば、ビーフのステーキ肉が頭に浮かぶだろう。しかし、ミシシッピ川より東ではBBQといえばポークだ。なぜなら、BBQのルーツは西インド諸島の豚(イノシシ?)の丸焼き、バラビク(Barabicu)だからだ。サウスカロライナ州には伝統的なBBQ街道があり、そこで食べたBBQは豚肉を割いたプルドポークだった。
でも、カリフォルニアのBBQはビーフだったぞ、という人も多いだろう。牛はスペイン人によって南米経由でテキサスに持ち込まれた。したがって、テキサスから西はビーフが優勢なのだ。
前置きが長くなったが、メンフィスではラックと呼ばれるポーク・リブ(肋骨)のBBQが名物だ。ようするにスペアリブなのだが、1本ずつ切り離さずにつながったまま(これがラック)調理するのがポイントだ。
ラックの名店がメンフィスの裏路地にある「ランデブー」だ。地下へ降りるにはちょっと勇気がいるが、その価値は十分にある。ドアを開けると厨房からモクモクと煙が立ち上がっている。ソミュール液につけてから十分に乾かした肉を燻し焼きにしているのだ。煙の向こうに見える黒人の影は臨場感たっぷりだ。
キャッチフレーズは「時代も街も変わったが、このキッチンは1948年のまま」。う〜ん、泣かせるねぇ。当時のままのレシピで作っているBBQはまさに絶品。一度、試してみていただきたい。
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このミシシッピの旅で筆者が取材した内容を1冊にまとめた本が2025年3月13日に発売となった。アメリカンミュージックのレジェンドたちの逸話とともに各地を紹介しているフォトエッセイ、興味のある方はぜひチェックを。
>>>『アメリカ・ミシシッピリバー 音楽の源流を辿る旅』(産業編集センター)
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