クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • SPORT
  • 軽カーだけのレースで王座に輝いたダイハツ「エッセ」はリーズナブルでも耐久性の高いパーツばかりをチョイス!…純正流用テクを紹介します
SPORT
share:

軽カーだけのレースで王座に輝いたダイハツ「エッセ」はリーズナブルでも耐久性の高いパーツばかりをチョイス!…純正流用テクを紹介します

投稿日:

TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • ドリフトも得意な中田一平選手。それだけに雨天のレースでもマシンコントロールには自信がある
  • ダイハツ エッセ:カラーリングもないシンプルな姿だが、大激戦区でチャンピオンを獲得した実力は本物だ
  • ダイハツ エッセ:多少の接触は割り切っているが、目立たないようシャシーブラックで簡易的に補修している
  • ダイハツ エッセ:給油口までのワイヤーも取り除いて軽量化。代わりに自作のオープナーを取り付けた
  • ダイハツ エッセ:追加メーターはエンジン回転数のみ。水温が安定しているのは分かっており不要だと判断
  • ダイハツ エッセ:フルバケットシートも知人から譲り受けた中古品。とにかくリーズナブルに仕上げている
  • ダイハツ エッセ:上位のドライバーは大半が使用しているデータロガー。自分の運転を客観的に分析できる
  • ダイハツ エッセ:トラブルが出たパーツはすべてスペアを積んでいく。こういった姿勢は誰もが見習うべき
  • ダイハツ エッセ:社外品の強化コイルに交換するドライバーが多い中、中田は信頼性を優先し純正を使う
  • ダイハツ エッセ:シリーズ後半で猛烈に巻き返し王座を手にした中田一平選手のマシン

耐久性と走行性を両立させたエッセの魅力とは?

2024年シーズンの「東北660選手権」でチャンピオンの座をつかんだ中田一平選手。その裏には、ダイハツ「エッセ」を駆りながら培った技術と、車両の隅々までこだわったセッティングがありました。勝利を支えたエッセの耐久性とセッティング、そしてコストを抑えた車両作りについて詳しく紹介します。

最終戦で繰り広げられた中田一平選手の大逆転劇

もうすぐ15年目のシーズンが開幕する「東北660選手権」。改造範囲やドライバーの経験に応じて5つのクラスに分けられるが、最も台数が多く予選を通過するのも一苦労なのが3クラスである。2024年にその最大の激戦区を制したのは、シンプルな外観の黒いダイハツ「エッセ」を駆る中田一平選手である。まずは2024年シーズンの戦いを振り返ってみよう。

開幕戦では予選でポールポジションを獲得したが、決勝では最大のライバルである竹中康平選手に敗れ、準優勝に終わった。第2戦では表彰台に立つものの3位という結果に終わり、本人にとっては不本意な結果となった。しかし、ターニングポイントとなったのは第3戦である。初めてのポール・トゥ・ウィンを果たし、さらに決勝ではファステストラップも記録した。この時点でチャンピオン争いはほぼ中田選手と竹中選手に絞られ、最終戦で決着がつくドラマチックな展開を迎えた。

誰もが注目した最終戦では、19歳の若手ドライバー、高岡威選手がデビュー戦でポールポジションを獲得した。中田選手は2番手、竹中選手は3番手というトップを狙う位置に付けていた。決勝では、中田選手が経験の豊富さを見せつけ、大逆転を成功させた。さらに竹中が6番手に沈んだことで、シリーズチャンピオンの座は中田選手の手に渡った。

安価で高耐久を実現した王者の作り込み

王座に輝いたエッセを詳しく紹介しよう。エンジンは車両規則によりノーマルでコストをかけないことが特徴である。吸気系のエアクリーナーは汎用品と市販の塩ビパイプを組み合わせ、トータルで約1500円という非常に低価格で済ませたという。しかし、安さだけでなく遮熱板でエンジンの熱を隔離するなど、限られたパワーを無駄なく使うための対策が施されている。

冷却系に関しては、ラジエーター本体は純正のままで、80℃で開弁するローテンプサーモスタットを使用。これもインターネットのオークションで約700円という非常に安価で入手したという。

耐久性にも強くこだわっており、元々耐久レース用として製作された車両であるため、長時間トラブルなく走りきることが求められる。そのため、ドライブシャフトはエッセよりも太いダイハツ「コペン」の純正品を使用し、ブレーキパッドもサイズの大きいコペン用を採用している。

コイルは信頼性を重視して純正のままであり、ナックルやハブなど、過去にトラブルが発生したパーツは予備を持参している。万が一、練習走行や予選で問題が発生しても、決勝までに修復できるため、安心してレースに臨むことができる。

サスペンションの巧妙なセッティングでレースを制す

走行面では、サスペンションのセッティングにこだわりがある。上位のドライバーがセッティングをあまり変更しないなか、中田選手は毎回のようにセッティングを調整している。キャンバー、キャスター、トーといった各部を細かく調整しており、その調整内容が毎回のレースで成果を上げている。

土壇場でのリセッティングは良い結果を生まないことが多い。しかし、中田には当てはまらないようだ。なお、キャンバーはライバルたちより大きめで、タイヤに荷重をかけやすいよう空気圧は低めに設定している。これはコーナーで早めにクルマの向きを変え、縦のグリップを早く使う作戦だという。

2025年はスプリントレースを一旦休み、同じエッセで東北660耐久レースへの参戦を予定している。速さ、安定感、耐久性のいずれにも定評のある中田の愛機は、同じレースにエントリーするドライバーにとって、強力なライバルとなることは間違いない。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

すべて表示
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
著者一覧 >

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS