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ロールス・ロイス「ファントム クーペ」や「ゴースト」のベースとなったモデルは⋯? プロトタイプ「EX」シリーズを振り返ります

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TEXT: AMW  PHOTO: Rolls-Royce Motor Cars

初代「ゴースト」のベースモデルとなったのが「200EX」

2009年3月、ロールス・ロイスはジュネーブ・モーターショーで「200EX」を発表。100EXや101EXとは異なり、200EXは明確に生産を前提としたコンセプトモデルであり、翌年2010年に登場予定の4ドアサルーンのデザインスタディとして位置づけられていた。

200EXはファントムよりもダイナミックで、格式は抑えられており、サイズとスタイリングは新しい市場である若年層に訴求するような設計がされていた。エクステリアは滑らかな大曲面を特徴とし、彫刻的な水平ラインが幾何学的な精緻さを加味していた。パンテオングリルは内側にカーブを描き、ベーンが奥まって配置されることで、よりダイナミックな印象を与えていた。インテリアは明快で直感的なデザインが意図され、重要な機能にはクロームのアクセントが施されていた。

200EXは、2010年に発表された初代「ゴースト」のベースモデルであり、2019年には同社史上最も商業的に成功したクルマとなった。

世界初の超高級バッテリー電気自動車「102EX」

2011年、ロールス・ロイスは完全電動の「102EX」を発表。「ファントム エクスペリメンタル エレクトリック」としても知られるこのモデルは、世界初の超高級バッテリー電気自動車(BEV)として登場した。

ジュネーブ発のグローバルツアーでは、ヨーロッパ、中東、アジア、北米を巡り、試乗とフィードバックの機会を提供した。出発前には、ウォリックシャーのMIRA(自動車産業研究協会)にて極端な湿度と温度環境でのバッテリーテストが実施され、30%の低湿度(ラスベガス相当)や最大理論値である500℃でも正常走行可能であることが確認された。

BMWグループの創立100周年を記念した「103EX」

「スペクター」が登場する5年前の2016年、ロールス・ロイスはもうひとつの重要な一歩を踏み出した。親会社であるBMWグループの創立100周年に際し、各ブランドにビジョン・ビークルの製作が求められたのである。ロンドンで発表されたビジョン・ビークル「103EX」は、最先端素材による手作業製造とゼロエミッションのパワートレインを特徴とし、移動体験の未来像を提示した。

「グランド・サンクチュアリ」と呼ばれたキャビンは、軽量で洗練された現代素材によって構成され、乗員を包み込むよう設計されていた。座席は豪奢なソファへと置き換えられ、芸術的な照明によってキャビン内に浮遊するような印象を与えている。

これらすべての実験車は、20世紀の先達と同様に、完全に機能する走行可能なクルマであり、新技術、エンジニアリングアプローチ、ビスポーク機能の試験台として、ロールス・ロイスのルネッサンスおよびその後の成功の礎となった。今日の製品ポートフォリオはもとより、「ゴースト」「ドーン」「レイス」「ファントム クーペ」といった生産終了モデルの多くも、いずれかの先駆的プロジェクトを源として誕生したものである。

AMWノミカタ

ロールス・ロイスのEXシリーズの多くはコンセプトだけではなく、その後実際に市販車として販売されていることからもかなり具体的に作り込まれたモデルばかりである。100EXは2007年のファントム ドロップヘッドクーペ、101EXは、2008年のファントム クーペ、そしてレイスへとつながる。200EXはゴースト、102EXはスペクターの開発に活かされた。

103EXで発表されたコンポーネンツはロールス・ロイスのビスポークの幅を大きく広げるきっかけとなっている。最新のEXモデルである103EXは2016年に発表されたがハンドルもペダルもなくすでに完全にAIが運転することを前提としていた。前面には透過型OLEDディスプレイが設置され、エンタメや情報表示が可能でかなり未来的なモデルとなる。

「もっとも純粋な形の私たちのビジョンは、オートクチュールに等しいクルマを創ることです。これがラグジュアリーなモビリティの未来です」

とロールス・ロイスがいうように、彼らの未来の野望は一人一人に異なるモデルを提供することなのだろう。プライベートスタジオの世界中での展開や、本社のビスポーク施設の拡大は確実にこの夢の途上にあるプロジェクトであることがわかる。

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