デイラリーでロールゲージを装備するヴィヴィオRX-Rを発見
筑波山と言えば、広大な関東平野にひょっこりと、男体山と女体山の峯を盛り上げおっとりと尾根を伸ばしている茨城県にある名山です。そこでJAF(日本自動車連盟)公認のラリー「パープルラリーがまツアー2025」があるというのでどんなものなのか気になり行ってみました。このラリーに参加したスバル「ヴィヴィオRX-R」を紹介します。
免許さえあれば誰でも参加可能! 気軽に楽しめるデイラリー
愛知県でここ数年開催されている世界ラリー選手権(WRC)のラリージャパンが盛況であり、WRCシリーズで活躍するワークス・トヨタ・チームに関する報道やCMも年間を通して随時絶えることなく全国的に流れています。そんなこともあり、ラリーに初めて興味を持たれる人も、あらためて惹かれる人も、たくさんいるのではないでしょうか。
自動車競技のラリーは、日本でも古くから愛されてきたモータースポーツです。時代的変遷と熟成を繰り返しているともいえる日本のラリー競技。「紫峰」と呼ばれる筑波山にある筑波ふれあいの里を拠点とし、競技ルートをその周辺にめぐらしている今回のラリーは「デイラリー」と呼ばれているものでした。
パープルラリーがまツアー2025は、年間5戦が組まれている関東デイラリー・シリーズ戦の開幕第1戦(4月20日開催)。なんと自動車運転免許証を持っていれば誰でも自分の普段乗っているクルマで参加できるラリー競技でした。
「パープルラリーがまツアー」という名称の由来などを競技長の入夏高志さんに聞くと、
「1980年代より続けられてきた筑波山界隈でのラリー運営です。当時はスピードを競うものが主でした。主催者チームパープルの先輩たちからそれらの活動を受け継ぐとともに、誰でも気軽に参加できる楽しいラリーをあらたに立ち上げようとの思いからがまツアーとしました」
とのこと。紫峰と呼ばれる名山の筑波山、そのご当地キャラクターであるのはカエルの蝦蟇(ガマ)、パープルとがまに、そんな想いが込められているラリーです。
筑波山周辺80kmを駆け抜ける
JAF公認のクローズド格式競技というパープルラリーがまツアーは、モータースポーツを統括するJAFの定める競技規定のなかでは「第1種アベレージラリー」になります。アベレージラリーとは、一般公道を競技の舞台としているラリーで、交通ルールにのっとりラリールートを走り抜けていきます。その際に、主催者が指定した区間内でのアベレージ速度での走行を、いかに正確にこなして行けるかを競い合うものです。今回の総走行距離は、筑波山周辺の80kmほどでした。
競技ルート上には、ところどころに競技車のアベレージ走行の正確さをチェックする通過点であるチェックポイントが現れます。しかしこのチェックポイント、どこにあるかは競技者には知らされません。よって選手たちは常に、安全運転のもと、ルートとして手渡された「コマ図」をコドライバーが解読。進行方向、走る速さなどをドライバーに伝達しながら、ミスコースせずにラリー・ルートを走行します。
それぞれの競技車が指示されたアベレージ速度通りに走ったかは、チェックポイント通過時の指定タイムとの誤差をオフィシャルが秒単位で計測しています。誤差0秒は減点0。速いか遅いかのプラスマイナス秒差であれば絶対値の減点加算となり、ルートに設けられたそれぞれのチェックポイントでの減点のトータルで、勝敗を決することになります。“走って秒争い”まさにモータースポーツです。
とはいえ主催者が競技のアベレージ走行の構築を行ってきたオフィシャルカーと、参加者の競技車は車種が違っていたりするので、違った径のタイヤの回り方やステアリング操作での走行ラインの差異なども当然生じます。同じルートを走っていても自分の車のオドメーターが示す走行距離そのものが、アベレージ走行を設定したオフィシャルカーと微妙に違うということがあるわけです。当日の路面状況の違いの影響もあったりしますので、主催者が指示したアベレージ走行を完璧にこなすには、自分たちの競技車と主催者の車両の距離計の違いがどのくらいなのかを数値として把握し、補正する課題があったりします。一筋縄ではいかない状況判断もあるのがデイラリーで、心技体にあわせて知も磨けるモータースポーツでもあるのです。
完走後にはJAF競技Bライセンスも申請可能
ラリーには、公道を移動し専有された数々のスペシャルステージを巡ってスピード走行を競う、いわゆるSS(スペシャルステージ)ラリーもあります。その最高峰がWRC。一方でアベレージラリーは速さを競うというよりも指定されたアベレージ速度走行の正確さを追求するラリーです。とはいえどちらも「車とともに競技クルーたちがチャレンジを繰り返しながら無事帰還する」というラリー競技におけるエッセンスには変わりがありません。だからこそルールのもとで競い合うモータースポーツの醍醐味が味わえるのです。

デイラリーは参加費も1台あたり2万円とリーズナブル。普段乗っているクルマで手軽に楽しめるのはもちろん、完走後、JAFの競技Bライセンスも申請できるということもあり、ラリー競技入門としても最適と言われているほど。若者の参戦も絶えない近年とのことですが、今回のがまツアー参加者の顔ぶれを見渡せば錚々たるベテランも多数、参加車種もマツダ「CX-5」、日産「オーラ」、軽自動車のスズキ「ジムニー」「スイフトスポーツ」、往年のいすゞ「ジェミニ」、ホンダ「シビック」、……果てはランチア「デルタ」まで。ひと握りの車種に偏ることもなくバラエティに富んでいるのは、なんの隔たりもない参加しやすさが現れているということでしょう。





















































