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東北660ターボGPが2025年シーズンも開幕! 各クラスのニューカマーたちに要注目

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • 2024年はほかを寄せ付けない速さだった松山雄大のスズキ カプチーノ。今シーズンの初戦こそ準優勝だったが、このまま2番手に甘んじるわけもない!?
  • パドックの雰囲気は常にアットホームだ。レースに「怖い」という印象を抱いている人がいれば、ぜひ東北660を観戦しに来てほしい
  • 開幕戦は耐久レースが併催のためギャラリーもいつも以上。松山や阿部を筆頭にターボGPとかけ持ちで参加するドライバーも多くいた
  • 2024年シーズンから参戦した639#小林大翔のダイハツ L700型ミラ。ブーストがノーマルではさすがに厳しく、ECU書き換えを計画しているとか
  • 意外にも1台しかいないダイハツコペンの234#望月文男。L880Kは中古車も安いしパーツも豊富で、ポテンシャルもまだまだ一線級なはず
  • 2クラス優勝の173#阿部優翔
  • 3クラス優勝の19#日向繁美
  • 4クラス優勝の707#兵頭孝之
  • 自分でレストアしたG-SHOCKをプレゼントする舟山賞は2025年も継続。提供は自ら2クラスにエントリーしている802#舟山康だ
  • 2クラス表彰式
  • 3クラス表彰式
  • 4クラス表彰式
  • 今シーズンからターボGPをサポートするスノコオイル。季節や仕様に合わせた粘度のチョイスなども丁寧にアドバイスしてもらえる
  • 660ターボGPが始まって初のホンダ N-ONE。ロールケージやサスペンションなど、走るための基本的なパーツが出揃っているのも魅力だ
  • 東北660シリーズのなかで、もっともいい意味で草レースらしいターボGP。スーパーチャージャーやNAのボルトオンターボもOKだ

多彩なマシンが競い合う東北660ターボGP

軽自動車の旧規格から新規格まで、年代やメーカーを問わず、過給器付き車両のみで行われるスプリントレース「東北660ターボGP」の2025年シーズンは、3月30日に福島県エビスサーキット東コースで開幕しました。手に汗握る戦いとなったレースの模様をお届けします。

決勝レースは阿部と松山の激しいトップ争いに

東北660ターボGPは、タービン交換が認められている1クラスと2クラスがある。1クラスはフルチューンの100psオーバーのマシンが対象で、2クラスはよりライトな100psまでのいわゆる“ポン付け”が中心だ。2025年シーズンは1クラスのドライバー2名が卒業し、2クラスがが最高峰となる。

2024年シーズンの2クラスで圧倒的な速さを見せつけたのは、純正タービンの3クラス仕様で王座に輝いた89号車・松山雄大。軽自動車だけでなく、JAF公認レースでも実績を残すテクニシャンで、直線の短いエビスサーキットでは1クラスに肉薄するタイムを記録。所属チーム「ZtoAuto CSW自動車部」では指導役も務めている。

そんな松山に挑もうと3クラスからステップアップしたのが、東北660耐久レースやHA36カップでも活躍する173号車・阿部優翔だ。愛機S660は松山のスズキ「カプチーノ」と同じオープン2シーターながら、100kg以上も重く、ブーストアップ仕様ではとても勝負にならない。

そこで、冬の間にHKSのGT100Rキットを組み、雪解け早々にサーキットでセットアップ。レース当日は練習走行から1分10秒台を連発し、見事に予選でポールポジションを奪取した。松山も同じく1分10秒台をマークしており、決勝は両名によるトップ争いが予想された。

3月30日に福島県・エビスサーキット東コースにおいて、8周で行われた決勝は、大きな混乱もなくスタート。序盤から阿部と松山の2台が後続を大きく引き離す。軽量でブレーキ性能に勝る松山がコーナーで追い詰めるも、オーバーテイクには至らず、直線で阿部が逃げる展開が続く。最終的に阿部が見事なポールトゥウィンを飾った。

しかし、ファステストラップは松山が0.002秒差で獲得。第2戦まで少し間が空くため、マシンに手を加えてくるのか、それとも純正タービンにこだわり現在の仕様で戦うのか。松山のクルマ作りからも目が離せない1年になりそうだ。

次戦は11月にエビスサーキット西コースで開催予定

もっとも参加台数の多い3クラスで注目すべきは、19号車・日向繁美が投入したスズキHA36型「アルト」だ。といってもワークスやターボRSではなく、NAのバンをベースにしたワークス仕様で、2023年からコツコツと製作を進めていた。車重がワークスより軽いのは当然として、リアの足も動きが違い、曲げやすいとのこと。

そんな印象を証明するかのように、予選では唯一の1分11秒台を記録。決勝も後続を寄せ付けない速さで、ポールトゥウィンを決めた。今回はほぼシェイクダウンだったらしく、さらなる熟成に期待したい1台だ。なお、準優勝の87号車・中川太門と、第3位の10号車・奥村輔は、いずれも東北660シリーズで初の表彰台となった。

2ペダル限定の4クラスにもニューカマーが登場。JAF公認のワンメイクレースが開催されているホンダ「N-ONE」で、ドライバーは334号車・岩田侑也。デビュー戦ということもあり、ベテラン707号車・兵頭孝之の後塵を拝したものの、先代モデルのJG1型N-ONEは中古車の価格がリーズナブルで、アフターパーツも豊富。軽自動車とは思えないインテリアの質感や使い勝手は、レースと街乗りを兼用したい人にとって理想的だと思われる。

第2戦はしばらく先の2025年11月23日、福島県二本松市のエビスサーキット西コースで開催を予定している。2024年までは8月に宮城県柴田郡村田町のスポーツランドSUGOで行われていたが、気温と路面温度が下がり、コースレコードを狙いやすい同年12月7日に第3戦として、東北660選手権の特別戦と併催される。シーズン中盤および後半の、手に汗握る戦いを心待ちにしたい。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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