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天候に翻弄された東北660選手権・開幕戦⋯SUGOの新路面を攻略できたのは誰だ!?

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: Photo&report/東北660シリーズ大会事務局

  • 決勝は例年どおり45台のマシンが並ぶフルグリッド。予選を通過できなかった参加者は周回数を減らしたコンソレーションレースがある
  • 朝は走行できないレベルの濃霧だった。ほぼ無風だったせいもあり、公式練習は少し遅れてスタートした。気温も4月とは思えない寒さ
  • 朝の車検では安全面のチェックやタイヤのマーキングが行われる。スポーツランドSUGOの車検場は重量を計測できるのも嬉しい
  • 15年目を迎えた東北660選手権。クラス優勝者にはゼッケンを製作するエムズファクトリーより、限定ステッカーが贈呈された
  • たくさんの副賞も東北660シリーズの大きな魅力だ。また今回はパドックにウクライナの油脂類メーカー、XADOがブースを出展した
  • オフシーズンの間にお色直ししたマシンもちらほら。写真は38号車で歴代のレースカーすべてにラッピングを施して参戦している
  • 予選でクラッシュしたものの、修復して決勝に間に合わせた686号車。右のヘッドライトは観戦に来ていたスズキ HA23型アルトに借りたそうだ
  • 時間が経つにつれて雨足は強くなる。とはいえ新舗装はウェット時のグリップが高いらしく、以前より安心して攻められるとのことだ
  • チェッカーフラッグを受けたら全車がパドックで車両保管。入賞したマシンは違反がないかどうかオフィシャルの手でチェックされる
  • ハートビート賞とXADO賞をゲットした西沢拓真。表彰台にも立ち最高の結婚記念になったはずだ。商品はFRPリアゲートを選択した
  • 2025年からシャンパンのボトルには前ラウンドで活躍したレースカーが描かれる。記念すべき1回目は3月の耐久レースで優勝した829号車だ
  • 1クラス優勝の90#新関透
  • 1クラス準優勝の154#小松日高
  • 1クラス3位の11#アベ
  • 2クラス優勝の36#米山修二
  • 2クラス準優勝の204#フジムラヨシト
  • 2クラス3位の108#西沢拓真
  • 3クラス準優勝の775#良川勇司
  • 3クラス3位の73#高岡威
  • 4クラス優勝の67#鈴木茂
  • 4クラス準優勝の168#高杉俊太郎
  • 4クラス3位の5#高松正雄
  • 5クラス優勝の910#工藤与輝
  • 5クラス準優勝の303#佐野心優
  • 5クラス3位の83#日景良一
  • 3クラス優勝の127#千吉良伶
  • 予選はコースインするタイミングも大事。直線の長いSUGOはスリップストリームがよく効き、上手く使えば軽くラップタイムが1秒は縮まる

15年目の東北660選手権は濃霧と雨で波乱の開幕

2011年にスタートし、15回目のシーズンを迎えた東北660選手権。開幕戦は2025年4月13日に宮城県のスポーツランドSUGOで行われ、東北をはじめ遠方からも多くのエントラントが参戦しました。各クラスの戦いをレポートします。

難コンディションで明暗分かれる展開に

15回目となるシーズンを迎えた東北660選手。レース当日の天候は、練習走行をディレイせざるを得ないほどの濃霧。昼が近づくにつれて視界はよくなるものの、雨が降り続いた。また、SUGOはシーズンオフの間に路面を再舗装したこともあり、2024年までとのギャップに躊躇するドライバーも多かったようだ。それでは各クラスの戦いを順に追ってみよう。

1クラス(トップグレードハイグリップタイヤを装着・改造範囲高)

2023年に頭角を現した90#新関透が、1分55秒506で余裕のポールポジションを獲得。2番手の154#小松日高は1分57秒250、3番手の10#アベは1分58秒512と、逆転するにはかなり苦しい状況となった。決勝も新関が圧倒的な速さで逃げ切り、見事なポールトゥウィンを決めた。

2クラス(トップグレードハイグリップタイヤを装着・改造範囲中)

2012年の初戦から参加し続けているベテラン、36#米山修二が初のポールポジション。以前からウェット路面での速さには定評があり、悲願の初優勝に王手をかけたといえそうだ。なお、2番手には3クラスからステップアップした601#大堀斗夢、3番手も同じく86#竹中康平というフレッシュな顔ぶれが続く。

決勝は目論見どおり米山が逃げ切って嬉しい初優勝を果たす。しかし、表彰台の一角に立つかと思われた大堀と竹中は順位を落とし、準優勝は予選4番手からスタートした204#フジムラヨシト。東北660選手権に限っていえば参戦歴は浅いものの、サーキット走行の経験は非常に豊富で、2024年は5クラスに参戦していた。3位には、2024年から2クラスで戦っている108#西沢拓真が入った。

なお、西沢は今回が結婚してからの初レースということで、軽量パーツ1点がもらえるハートビート賞も獲得。FRPリアゲートで戦闘力を高めた愛機を駆り、シリーズ争いにも絡んできそうな予感がする。

3クラス(セカンドグレードモデルタイヤを装着・改造範囲低)

2025年も最大の激戦区となった3クラスは、クラッシュから約1年ぶりに復帰した177#大木佳人がポールポジション。それに続くのはガレージ・カリノからエントリーの771#淀孝志、そして今シーズンの飛躍が見込まれていた127#千吉良伶。

決勝は滑る路面でコースアウトが続出する荒れた展開となり、大木は接触のペナルティによりトップ争いから脱落。代わってトップでチェッカーを受けたのは千吉良。冷静なドライブが功を奏した結果となった。準優勝は、いち早く新舗装のクセを掴んだという775#良川勇司。3位には、予選5番手からポジションアップを果たした73#高岡威が入った。

4クラス(トップグレードハイグリップタイヤを装着・改造範囲高・AT/CVT車)

AGSのスズキHA36型「アルト」が有利と思われるなか、ATのダイハツ「エッセ」を駆る67#鈴木茂がポールポジションを獲得。以前はギヤ比を考慮し、あえて3速ミッションを使うこともあったが、現在はタイヤサイズで調整して、ミッション自体は4速を常用している。予選2番手は168#高杉俊太郎、3番手は5#高松正雄。決勝はポジションの変動なく、そのままゴールとなった。

5クラス(トップグレードハイグリップタイヤを装着・改造範囲中・ビギナー限定)

初参加の910#工藤与輝がデビューウィンを飾り、準優勝が303#佐野心優、3位は83#日景良一というオーダーとなった。

なお、東北660選手権の第2戦は2025年6月29日に福島県二本松市のエビスサーキット東コースで行われ、東北660ターボGPとS660のワンメイクレース「H1カップ」が併催される予定だ。各クラスとも、熱くクリーンなバトルを期待したい。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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