7年16万kmの車体保証に8年距離無制限のバッテリー保証
バッテリーを買わない“サブスクリプション”方式は、月額90〜200万ドン(邦貨換算約5500〜1万2000円)と、維持費の明朗さも魅力。購入層は「ガソリン代+α」の感覚で安心して日常使いできる。もし電池が劣化しても、交換無料保証で安心──小さな心配にも配慮が細やかなのです。
7年16万キロの車体保証に、8年距離無制限のバッテリー保証。これ以上の安心と自信があるだろうか。国産EVとしてのブランド力、全国規模の充電ネットワークも見逃せないようです。信頼が安心を呼び、さらなる顧客を引き寄せる──見事な好循環だったのです。
EV旋風は追い風にもなりましたね。バイク大国ベトナムが「排ガスゼロ、2040年までに一定割合のEV化」を国家目標に掲げ、EV優遇策も次々と導入された。そうした環境は、VF3にとって追い風そのものとなったのです。
また、Vingroup傘下という安心感、蘇る「自国産」ブランドへの愛着──輸入依存からの脱却を図る人々にとって、この小さなクルマは“国家的シンボル”なのです。
ちなみに、走り味も狭いベトナムの街に適しています。VF3は全長約3.2m、全幅約1.67m、全高約1.6mというコンパクトサイズで、軽自動車よりやや大きい程度。街中でも小まわりが利き、狭い路地や駐車場もスイスイ。最小回転半径も小さく、ハノイやホーチミンのごちゃごちゃした市街地でも取りまわしは抜群なのです。タイヤは16インチを履いており、最低地上高は195mm。この最低地上高がじつはポイントでした。
ベトナムでは、歩道に乗り上げて駐車するのも日常なのです。ですから、ガツガツと乗り上げやすい、余裕ある最低地上高が必要なのです。そんなベトナムを知り尽くしたディメンションも、人気の秘密ですね。
運転に“肩肘張らない気軽さ”があるのが魅力
くわえて、電動モーター特有のスムースな加速と静粛性があり、初心者や女性ドライバーにも好評。シンプルな内装と高めのアイポイントで、見晴らしもよく、運転に“肩肘張らない気軽さ”があるのが魅力です。決して金持ちではない。だが、その胸にある「自分のもの」「家族を乗せる場所」という思いは、金に換えられない価値です。VF3はただの乗り物ではなく、その思いを運ぶ舟なのである。
国民が「自分のクルマ」と呼ぶその日まで、この小さな電気の舟は、ベトナムの街を静かに、しかし確かに走り続けています。スマートで安価、安全でサポートがある。しかも国産ならではの“安心感”がプラスされる。これが、VF3がバカ売れする──いや、売れるだけでなく、売り続けられる理由なのです。








































