世界的なクラシックマイクロカー人気の機運がありながらも……
さきごろアイコニック「The Classic Sale at Wheeler Dealer Live 2025」オークションに出品された1971年式ボンド・バグ700ESは、このモデルではデフォルトとされていたヴィヴィッドなオレンジ色「ブリリアントタンジェリン(Brilliant Tangerine)」のボディカラーで、インテリアは黒のビニールレザー製のパッドやトリム類を組み合わせた、ボンド純正の仕上げとなっている。
こういった大衆車では初期の来歴については明らかになっていないことが多いのだが、ご多分に漏れずこの個体のヒストリーについて、アイコニック・オークショネア社の公式カタログでも詳しく記されてはいない。しかし、今回のオークション出品車である現オーナーが1983年に購入して以降、現在に至る42年の所有歴でのヒストリーはもちろん周知されていたようで、近年では2021年にボディワークの修理と強化を含む分解・修復を実施。2025年に新しいスリーブシリンダーに交換し、それ以降の走行距離はごくわずかとの由である。
オークションカタログ作成時点で、オドメーターが表示していた走行距離は4万732マイル(約6万5550km)。2026年3月までの英国MoT車検にも、特段の注意事項なしで合格しているという。また予備となる古いエンジンとトランスミッション、そのほかの部品が付属しての出品とのことであった。
総生産数は2270台。現存はかなり少ない?
「トム・カレンの未来的な“ファンカー”デザインの代表作で、42年間所有されてきた愛されるモデル」
アイコニック・オークショネア社では8000ポンド~1万ポンド(邦貨換算約159万円〜約198万円)という、近年のマイクロカーの世界的ブームのなかにあっては、かなりリーズナブルとも思われるエスティメート(推定落札価格)を設定した。
ところが、ビスタ-・モーションの特設会場で行われた競売では、売り手側が期待していたほどにはビッド(入札)が進まなかったようで、終わってみれば「No Sale(流札)」。結局、アイコニック・オークショネア営業部門によって、非公開で販売されたとのことであった。
同時代のベーシック車であるBLMCミニ850よりもわずかばかり高い、この種のマイクロカーとしては比較的高価だった新車価格のせいか、結果として総生産数は2270台で終わってしまった。さらに同じくこの種のクルマの宿命としてすでに失われた車両も多いボンド・バグは、今や超レアアイテムとして珍重されていると聞くが、翻って今回の競売では今一歩プライスが伸びなかった。
したがって、この1971年式ボンド・バグ700ESを入手したバイヤーは、結果としてお買い得に入手できたということなのかもしれない。












































































































































